言語切替

ピチカート・ファイヴ: 女性上位時代(1991年)

概説

『女性上位時代』は、1984年に小西康陽を中心として結成された日本のポップバンド、ピチカート・ファイヴの5作目のスタジオ録音アルバムである。

制作の背景

ピチカート・ファイヴは1984年から2001年にかけて活動したバンドである。1990年代後半に「渋谷系」と呼ばれた、1960年代のオーケストラ・ポップやサンシャイン・ポップ、フレンチ・ポップ、ソウル、ラウンジなどの要素を混合した洗練されたハイブリッドな音楽が特徴の一群のバンドの一つとして知られている。

ピチカート・ファイヴは1984年に東京で小西康陽(bass, keyboards, guitar, vocals)、高浪慶太郎(guitar, keyboards, vocals)、鴨宮諒(keyboards)、佐々木麻美子(vocals)によって結成された。

1985年に細野晴臣プロデュースの12インチ・シングル「オードリィ・ヘプバーン・コンプレックス」をテイチクのノン・スタンダードレーベルよりリリースし、デビューした。

1987年に1作目のアルバム『couples』をCBS・ソニーよりリリースした。『couples』はソフトロックやオーケストラ・ポップのスタイルによるアルバムだった。

1988年に田島貴男が自身のバンドであるオリジナル・ラヴの活動を平行して続けることを条件にヴォーカリストとして加入し、ピチカート・ファイヴは小西、高浪、田島の3人組となった。

田島の加入後、ピチカート・ファイヴの音楽はソウル、ジャズの要素を導入したソフィスティ・ポップへと移行し、彼らは3人組として3つのアルバム、『Bellissima!(ベリッシマ)』(1988年)、『女王陛下のピチカート・ファイヴ』(1989年)、『月面軟着陸』(1990年)をCBS・ソニーからリリースした。

1990年にニュー・ウェイヴ・バンドのポータブル・ロックの元ヴォーカリストだった野宮真貴が田島に代わってピチカート・ファイヴにヴォーカリストとして加入した。

解説

アルバム『女性上位時代』は1991年に日本コロムビアのSeven Godsレーベルから発売された。

本アルバムは2000年にレディメイド・レコード/ヒートウェーブから、2006年にコロムビア*レディメイドから、それぞれ新しいCDジャケットで再発売された。

『女性上位時代』は野宮真貴が3代目のリード・ヴォーカリストとして加入後の最初のアルバムである。

本作はデ・ラ・ソウル(De La Soul)の『3 Feet High and Rising』(1989年)の影響下でサンプリングとオルタナティヴ・ダンス、ハウスの要素を全面的に導入した、ダンサブルでキャッチーなポップ・アルバムである。

本作は、1960年代のポピュラー音楽と現代的なダンス・ミュージックを融合させたレトロモダンなスタイルと、さまざまなサンプル音源やヴォイスを引用したカット&ペースト的なコラージュ技法が特徴である。

「トゥイギー・トゥイギー」はシンガーソングライターの佐藤奈々子が野宮のデビューアルバム『ピンクの心』(1981年)のために作詞作曲した曲がオリジナルである。ピチカート・ファイヴのバージョンはロバート・アルトマン監督の映画『プレタポルテ』(1994年)とマックG監督の映画『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)で使用された。

「パーティー」は細野晴臣のソロデビューアルバム『HOSONO HOUSE』(1973年)の収録曲のカヴァー。細野もヴォーカルで参加している。

収録曲

作詞・作曲は小西康陽(特記以外)、アレンジはピチカート・ファイヴ。

    1. 女性上位時代#4 – 1:00
        • ピチカート・ファイヴのメンバーがインタビューで1991年の5か月連続リリースについての質問に答えている。

    2. 私のすべて – 1:51
    3. お早う – 5:07
    4. サンキュー – 5:26
    5. 大人になりましょう – 3:36
    6. 女性上位時代#5 – 0:14
        • ナレーション

    7. ベイビィ・ラヴ・チャイルド – 3:42
        • 作曲: 高浪慶太郎

    8. トゥイギー・トゥイギー – 2:49
        • 作詞・作曲: 佐藤奈々子

    9. トゥイギー対ジェームス・ボンド – 1:15
    10. 神様がくれたもの – 4:50
        • 作詞: 野宮真貴、作曲: 高浪慶太郎

    11. パーティ – 4:32
        • 作詞: 中山康史・鈴木りょうこ、作曲: 細野晴臣

    12. しりとりする恋人たち – 4:16
        • 作曲: 窪田晴男、野宮真貴

    13. マーブル・インデックス – 3:57
        • 作詞・作曲: 高浪慶太郎

    14. きみになりたい – 4:33
    15. むずかしい人 – 3:53
        • 作詞: 野宮真貴、作曲: 高浪慶太郎

    16. TOKYO’S COOLEST SOUND – 4:12
        • 作曲: 高浪慶太郎

    17. クールの誕生 – 3:47
    18. 女性上位時代#6 – 2:06
        • 作曲: 小西康陽、窪田晴男、野宮真貴

        • メンバーのインタビュー