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π(パイ)(1998年)

『π(パイ)』は、数秘術のような奇妙な観念に取り付かれた数学者が主人公の1998年のアメリカ合衆国のサイコスリラー映画。脚本・監督はダーレン・アロノフスキー。アロノフスキーの長編デビュー作。モノクロ。84分。

マンハッタンのチャイナタウンのアパートに住んでいる失業中の数論研究者、マックス・コーエン(ショーン・ガレット)は、頭痛や妄想症、幻覚に悩まされながら、日々、自作のコンピュータ「ユークリッド」を使って、カオス理論に基づいた株価予測の研究を行っていた。

マックスは以下の3つの仮定に基づいて、市場における株価変動のパターンを発見しようとしていた。すなわち、

1: 数学は自然界の言語である。

2: われわれを取り巻くすべての事象は数字で表し、理解することができる。

3: どのような系も、その数字を図式化すれば一定のパターンが現れる。従って、パターンは自然界の至るところに存在する。

ある日、ユークリッドがあり得ない予測を弾き出し、216桁の数字を吐き出してクラッシュする。その予測が的中していることに気付いたマックスは、自然界のすべてを決定している統一パターンを表しているように思われるその216桁の数字に取り付かれる。

しかしその一方で、マックスは自分が、マックスを利用して利益を得ようとするウォール街の投資会社のエージェントと、その216桁の数字が神の名を表していると考えるユダヤ神秘主義(カバラ主義)のグループに追われる身となっていることに気付く。

本作は、白黒リバーサルフィルムで撮影された高コントラストで粒子の荒い映像と、極端に短い連続ショットの高速カッティング(ヒップホップモンタージュ)が特徴。

作風はデイヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』(1977年)や塚本晋也の『鉄男』(1989年)に似ている。

サウンドトラックは、トリップ・ホップやドラムンベース、アンビエント、IDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)などのテクノ/エレクトロニカの楽曲で構成されており、マッシヴ・アタック、エイフェックス・トゥイン、オービタル、オウテカその他のアーティストが楽曲を提供した。

オープニング・テーマ曲「πr²」を含む3曲は、元ポップ・ウィル・イート・イットセルフのクリント・マンセルのオリジナル曲。

1998年に、アメリカ最大のインディペンデント映画祭であるサンダンス映画祭にて、アロノフスキーは本作で最優秀監督賞を受賞した。

映画 『π(パイ)』 日本語予告篇