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オーディション(1999年)

『オーディション』は、三池崇史監督の1999年の日本のサイコスリラー/ホラー映画。村上龍の同名の小説(月刊誌『PENTHOUSE JAPAN』連載。1997年刊行)が原作。映画の主演女優のオーディションを利用して再婚相手を探そうとする中年男性の恐怖体験を描いている。主演は石橋凌、椎名英姫。113分。

妻の良子(松田美由紀)が病死してから7年後、ビデオ制作会社を経営する青山重治(石橋凌)は、高校生の息子の重彦(沢木哲)と東京の世田谷で暮らしていた。

青山は友人で映画プロデューサーの吉川泰久(國村隼)に再婚を考えていることを話す。青山は、できるだけいろんな女性と会って理想の女性を選びたいと言う。

吉川は、新作の恋愛映画の主演女優を決めるオーディションを装って女性を集めて再婚相手を選んだらどうかと提案する。青山は吉川の計画に賛同する。

オーディションの応募書類を選考していた青山は、山崎麻美という名の24歳の女性(椎名英姫)に惹かれる。麻美の書類には、クラシックバレエを12年習っていたが、腰を痛めてバレエダンサーになることを断念したと書かれていた。

吉川と青山が面接官となり、オーディションを開催する。オーディションで麻美は、エースレコードのディレクターの芝田が個人で自分のマネージメントを担当していること、週に3日、銀座のバーの手伝いの仕事をしていることを話す。青山は麻美に魅了される。

吉川はエースレコードに電話し、芝田が1年半前から行方不明になっていることを知る。吉川はそのことを青山に知らせるが、青山は何度か麻美と一緒に食事をした後に、麻美に結婚を申し込むことを決意する。

麻美は自宅のアパートのぼろぼろの和室で青山からの電話を待ち続けている。室内には黒電話と大きな袋が置かれている。袋が動いている。

青山と麻美は海辺のホテルに宿泊する。ホテルの部屋で、麻美は青山の前で服を脱ぎ、私の体を見てと言う。麻美の右太腿に2本の傷があり、麻美はそれを子供の頃の火傷の痕だと言う。麻美は青山に「私だけを愛して」と言う。青山は頷いて服を脱ぎ始める。

青山がホテルの部屋で目覚めると、麻美がいなくなっている。ホテルのフロントが電話で、青山に麻美が先に帰ったことを伝える。

それ以来、麻美は青山の電話に出なくなり、青山は麻美と連絡が取れなくなる。青山は麻美を捜し始める。

青山は麻美がトレーニングを受けていたと記していた「島田バレエスタジオ」を訪れる。そのスタジオは閉鎖されていた。スタジオの中で青山は、両足に裂傷があり、車椅子に乗っている老人(石橋蓮司)に出会う。青山は老人に麻美について尋ねる。老人は麻美が子供の頃に自分が麻美の右太腿に火傷を負わせたことを回想し、青山に「帰ってくれ」と言う。

青山は麻美が働いていると言っていた銀座のバー「石の魚」を訪れる。バーは閉鎖されている。たまたま通りかかった別のバーのマスター(斉木しげる)が青山に、1年以上前にそのバーでママが殺され、バラバラにされたために廃業したと告げる。そのマスターによると、警察が遺体の断片を集めたところ、手の指が3本、耳が1つ、舌が1つ多かったのだという。

その頃、麻美は青山の家に侵入し、ウイスキーのボトルに薬物を入れる。

帰宅してウイスキーを飲んだ青山は意識を失う。

ここから、何が現実で何が幻想かがはっきりしない、夢のような一連の場面が続く。

食事の席で、麻美は青山に、子供の頃に両親が離婚して叔父の家に預けられ、虐待を受けたという話をする。

青山は麻美の部屋で、両足首と手の指3本、片方の耳、舌がない男(大杉漣)が袋から出てくるのを見る。男は麻美の嘔吐物を食べる。

青山は自宅で自分が体が痺れた状態で倒れていることに気付く。麻美は青山に神経刺激薬を注射してから青山の体に針を刺し、ワイヤー型のノコギリで青山の左足首を切断する。青山は激痛に悶える。

麻美が青山の右足首を切断しようとした時、青山の息子の重彦が突然帰宅する。麻美は昏睡スプレーを持って重彦に襲いかかる。

『オーディション』のストーリー展開は基本的には原作小説に忠実だが、結末の部分が原作とは異なっている。

結末部にショッキングでおぞましい拷問のシークエンスを含んでいるので注意が必要。

フェミニズムの観点から見ると、本作は女性を物のように扱う男性たちに対する一人の女性の復讐を描いた映画のように見える。しかし別の観点から見ると、麻美にとっては愛と苦痛が不可分となっていることが強調されているため、愛する者に苦痛を与えることがゆがんだ愛情の表現となっている女性の愛の物語として捉えることも可能である。

『オーディション』はホラー映画として世界的に高く評価されている。

本作は1999年にバンクーバー国際映画祭で世界初公開され、2000年に第29回ロッテルダム国際映画祭にて国際映画批評家連盟賞とオランダ映画ジャーナリスト賞を受賞した。

『タイム』誌は2007年に本作を「ホラー映画トップ25」の1本に選出した。

『ガーディアン』紙は2010年に『オーディション』を「史上最高のホラー映画25」のリストの21位にランク付けした。

Audition (1999) – Trailer (jap/english sub)