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ZELDA: 空色帽子の日(1985年)

概説

『空色帽子の日』は日本のロックバンド、ZELDA(ゼルダ)(1979–1996年)の3作目のアルバムである。

制作の背景

ZELDAは1980年代から1990年代にかけて活動したロックバンドである。日本におけるガールズバンド(女性だけで構成されているバンド)の草分けの一つとして知られている。

ZELDAはガールズ・パンクバンドのBOYS BOYSのベーシストだった小嶋さちほを中心として1979年に結成された。

バンド名は小説家のF・スコット・フィッツジェラルドの妻だった小説家のゼルダ・フィッツジェラルドに由来している。

1980年に高橋佐代子がヴォーカリストとしてバンドに加入した。高橋は当時15歳だった。

ZELDAは1982年に日本フォノグラムからメジャー・デビューアルバム『ZELDA』をリリースした。アルバムのプロデュースはロックバンドのLIZARDのメンバーのモモヨが担当した。

初期のZELDAはパンク・ロックに強い影響を受けており、当時は1970年代後半から1980年代初頭にかけて日本で「東京ロッカーズ」と呼ばれたパンク/ニュー・ウェイヴ系のバンドの一つと見なされていた。

1983年に石原富紀江(guitar)と小澤亜子(drums)がメンバーとなり、ZELDAは小嶋・高橋・石原・小澤の4人組のバンドとなった。

ZELDAは1983年に2作目のアルバム『CARNAVAL』をリリースした。このアルバムではムーンライダーズのギタリストの白井良明がサウンド・プロデューサーを務めた。

このアルバムから4作目のアルバム『C-ROCK WORK』(1987年)までは、ZELDAの音楽はポストパンク/ニュー・ウェイヴ指向のサウンドが特徴だった。

ZELDAはその後、音楽スタイルを大きく変えることになる。1980年代末にはファンクなどのアフリカ系アメリカ人の音楽に強く影響され、1990年代前半にはジャマイカのレゲエなどのワールドミュージックを基調としていた。

解説

アルバム『空色帽子の日』はCBS・ソニーのスタジオ(信濃町、六本木)でデジタル録音され、1985年にCBS・ソニーからLPとカセットで発売された。

本アルバムは1986年にCBS・ソニーからCDとして発売された。CDは1994年にソニーから再発売された。

白井良明とZELDAが共同で本アルバムのプロデュースを行った。

『空色帽子の日』は日本のポストパンク/ニュー・ウェイヴの傑作の一つである。ニュー・ウェイヴ期のZELDAを愛する多くのファンが本作をZELDAの最高傑作として高く評価している。

本アルバムのサウンドはスージー・アンド・ザ・バンシーズ(Siouxsie and the Banshees)やエコー&ザ・バニーメン(Echo & the Bunnymen)、ザ・キュアー(The Cure)などの当時のイギリスのポストパンク/ニュー・ウェイヴ、オルタナティヴ・ロック系のバンドに似ている。

本アルバムはロックからポップ、アコースティック、クラシカルに至るさまざまなスタイルの楽曲で構成されている。

ダークな雰囲気の哀愁メロディーによる楽曲が印象的である。

リード・ヴォーカリストの高橋は、当時「無機質」と評された抑揚の乏しい歌声、ロック・ヴォーカル、少女のような歌声など、楽曲によって歌唱スタイルを使い分けている。

一部の楽曲では、高橋による文学的な歌詞が、東京の埋立地や湾岸地域、川崎の工業地帯などの都市の風景を幻想的な心象風景として描いている。

「DEAR NATURAL」はワルツのリズムを用いた、地球の自然環境への讃歌のような曲。高橋のハイトーン・ヴォーカルが印象的である。

「自転車輪の見た夢」はアコースティックギターを取り入れたジャングル・ポップ風の曲。

「FOOLISH GO-ER」はハードロック風の曲。

「WATER LOVER」は高橋のヴォーカル、ピアノ、ストリングスによるクラシカルなスタイルの曲。

「湖のステップ/STEP ON THE LAKE」は高橋の少女のような歌声をフィーチュアしたキュートなラブソング。

「小人の月光浴」は中東の音階とマーチングビートを組み合わせたエキゾティックな曲。

「時折の色彩」は石原のエフェクター(ハーモナイザー)を用いたギターが印象的な曲。

「ハベラス」はZELDAが初期の頃から演奏していたロック曲。

ソニー・ミュージックエンタテインメントは2014年に『空色帽子の日』を含むゼルダのCBS・ソニー時代の5枚のアルバムのリマスター版を5CD+DVDのボックス『1985-1990』として発売した。

収録曲

全曲の作詞は高橋佐代子。

  1. DEAR NATURAL(作曲: 高橋、小嶋)– 4:19
  2. 自転車輪の見た夢(作曲: 高橋、鈴木洋子)– 3:17
  3. FOOLISH GO-ER(作曲: 石原)– 4:09
  4. FLOWER YEARS OLD(作曲: 石原)– 4:06
  5. WATER LOVER(作曲: 石原)– 4:03
  6. 湖のステップ/STEP ON THE LAKE(作曲: 小澤)– 4:39
  7. 小人の月光浴(作曲: 石原)– 4:10
  8. 時折の色彩(作曲: 小嶋)– 4:00
  9. 無人号地・357(作曲: 小澤)– 4:00
  10. ハベラス(作曲: 高橋、小嶋)– 3:16

参加ミュージシャン

ZELDA

  • 高橋佐代子 – vocals, clarinet, chorus
  • 小嶋さちほ – bass, keyboards, chorus
  • 石原富紀江 – guitars, keyboards, bass, chorus
  • 小澤亜子 – drums, percussions, keyboards, chorus

Additional Recording Musicians

  • 白井良明 – guitars on track 6, keyboards on tracks 6, 9 and 2, autoharp on track 6, tambourine on tracks 2 and 6, chorus on track 7
  • 渡辺等 – strings