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タワーリング・インフェルノ(1974年)

概説

『タワーリング・インフェルノ(The Towering Inferno)』は、超高層ビルで大火災に直面する人々のドラマを描いた1974年のアメリカ合衆国の災害映画である。

ポール・ニューマン、スティーブ・マックイーンを中心とするアンサンブル・キャストによる映画である。

リチャード・マーティン・スターンの小説『そびえたつ地獄(The Tower)』(1973年)とトーマス・N・スコーティア、フランク・M・ロビンソンの小説『タワーリング・インフェルノ(The Glass Inferno)』(1974年)の翻案である。

20世紀フォックスとワーナー・ブラザースの共同製作。

監督はジョン・ギラーミン。165分。

解説

『タワーリング・インフェルノ』は、1970年代の災害映画の傑作の一つである。オールスターキャストとサスペンスに満ちたストーリー展開、スペクタクルな場面と人間ドラマを含んでいる。映画評論家のロジャー・イーバートは『シカゴ・サンタイムズ』紙で本作を「1970年代中期の災害映画の波の中でも最良の作品」と評し、『バラエティ』紙は本作を「史上最高の災害映画の一つ」と評している。

本作は、ビル火災という、われわれが実際に巻き込まれる可能性があるリアルな災害を題材としており、危機管理や災害対策について考えさせられる映画である。

本作は第47回アカデミー賞で、撮影賞、編集賞、歌曲賞のオスカー3冠を獲得した。

The Towering Inferno Trailer

あらすじ(ネタバレ注意)

休暇中だった設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)は、自身が設計したグラスタワーの落成式のためにサンフランシスコに帰ってくる。グラスタワーは、世界一の高さを誇る138階建の超高層ビルだった。

ビルの施工を手がけたダンカン・エンタープライズの社長のジェームズ・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、ビルのオーナーでもあった。

80階までのオフィスエリアと81階から120階までの居住エリアには、すでにオフィスや居住者が入居していた。

地下の中央機械室で補助発電機のブレーカーがショートし、ロバーツが調べたところ、電線菅で覆われていないむき出しの電線が使われており、ダンカンの娘パティ(スーザン・ブレイクリー)の夫で電気技師のロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)がコスト削減のためにロバーツが設計した電気系統の配線の仕様を変更していたことが判明する。

135階のプロムナード・ルームでは落成パーティーが始まっていた。パーティーには、ゲイリー・パーカー上院議員(ロバート・ヴォーン)、サンフランシスコ市長のロバート・ラムジー(ジャック・コリンズ)とその妻のポーラ(シーラ・マシューズ)、ロバーツの婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)を含む約300名の客が招待されていた。

パーティー会場では、90階に住む偽造株券専門の詐欺師のハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)が、95階に住む裕福な未亡人のリゾレット・ミュラー(ジェニファー・ジョーンズ)を相手に詐欺を働こうとしていたが、クレイボーンとリゾレットは互いに惹かれ合ってゆく。

リゾレットの友人のオルブライト夫人は聴覚に障害があり、2人の子供、フィリップとアンジェラとともに87階に住んでいた。リゾレットはフィリップとアンジェラの絵画の先生でもあった。

81階の貯蔵室で配線盤のヒューズが発火し、火災が発生する。防火設備が未完成で火災警報装置やスプリンクラーが作動しなかったため、警備員で保安係主任のハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)が火災を検知した時にはすでに火は燃え広がっていた。

サンフランシスコ消防署の第5大隊隊長のマイケル・オハラハン(スティーブ・マックイーン)が消防隊を率いて現場に到着し、79階に前線司令部を設置する。消防隊が消火活動を開始するが、すでに上階への延焼が始まっており、鎮火することができない。

オハラハンはダンカンに、135階の人々の避難を指示するが、火災によってエレベーターと階段が破壊され、大勢の人々が135階に取り残されてしまう。

ロバーツとジャーニガンは居住エリアに残っている人々の救出に向かう。ジャーニガンはオルブライト夫人を1階に避難させる。ロバーツは、オルブライト一家を助けようとしていたリゾレットとフィリップとアンジェラを発見するが、3人を連れて階下に降りることができず、3人を何とか135階のプロムナード・ルームに連れてゆく。

60階付近でも別の火災が発生し、上階に延焼する。広報部長のダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)と秘書のローリー(スーザン・フラネリー)は、65階のオフィスで情事にふけっていて火災に気付かなかったために逃げ遅れてしまう。

オハラハンは、展望エレベーターに閉じ込められた人々を海軍のヘリコプターを使って救出し、ブリーチズブイ(吊り下げ型救命ブイ)に似た救助装置を使って135階の人々を隣のビルに移送するが、プロムナード・ルームに火の手が迫り、残りの全員を避難させる時間がない。最後の手段として、オハラハンとロバーツはプラスチック爆弾でビルの最上階にある貯水タンクを爆破して火災を鎮火させようとする。