概説
『セカンド・ハネムーン(2nd Honeymoon)』は、1974年にリヴァプールで結成されたイギリスのアート・ロック/ニュー・ウェイヴ・バンド、デフ・スクール(Deaf School)のデビュー・アルバムである。
制作の背景
デフ・スクールはリヴァプール・カレッジ・オブ・アートの学生や職員たちによって結成されたバンドで、エンリコ・キャデラック・ジュニア/本名スティーヴ・アレン(vocals)、ベット・ブライト(vocals)、クリフ・ハンガー/本名クライヴ・ランガー(guitar, piano)、マックス・リップル/本名ジョン・ウッド(keyboards, accordion)、スティーヴ・”アヴェレージ”・リンゼイ(bass, piano, vocals)、ティモシー・ウィッタカー(drums)、イアン・リッチー(saxophone)、エリック・シャーク/本名トーマス・ジョン・デイヴィス(vocals)、ポール・ピルニック(guitar, accordion, bass, banjo)が主要メンバーだった。
デフ・スクールは『メロディ・メイカー』誌主催のロック/フォーク・コンテストで優勝後、ワーナー・ブラザース・レコーズと契約し、1976年に本作をリリースした。
解説
本作は、キンクス(The Kinks)以降のブリティッシュ・ポップの流れを汲み、ティン・パン・アレー系サウンドやブロードウェイ・ミュージカル、ヴァイマル時代のキャバレーなどの舞台音楽、特にコール・ポーター(Cole Porter)、リチャード・ロジャース(Richard Rodgers)とロレンツ・ハート(Lorenz Hart)、クルト・ヴァイル(Kurt Weill)などの影響下でパブロック、ロキシー・ミュージック(Roxy Music)などのグラムロック、ニュー・ウェイヴの要素を導入した、ヴォードヴィル的なアート・ロックの傑作である。
デフ・スクールは1976–1978年にワーナー・ブラザース・レコーズからアルバムを3作リリースした。彼らのスタイルと方向性がパンクの波に飲み込まれた1970年代後半のイギリスのポピュラー音楽シーンの主流から外れていたため、当時は商業的な成功を収めることができなかったが、イギリスの多くのミュージシャンたちに多大な影響を与えたという点で重要なプロトパンクのバンドの一つである。
イギリスのロック・ジャーナリスト兼作家のポール・デュ・ノワイエは、「リヴァプールの音楽の歴史全体で2つのバンドが最も重要だ。1つはビートルズ(The Beatles)で、もう1つはデフ・スクールだ」と述べている。
「What a Way to End It All」/「Nearly Moonlit Night Motel」は1976年にシングルとして発売された。
『セカンド・ハネムーン』はアメリカでは2作目のアルバム『ドント・ストップ・ザ・ワールド(Don’t Stop The World)』と一緒にLP2枚組として1977年にワーナー・ブラザース・レコーズから発売された。
2009年にチェリー・レッド・レコードのレモン・レコーディングス・レーベルからボーナス・トラック6曲を含むデジタルリマスター版CDが発売されている。