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田舎司祭の日記(1951年)

概説

『田舎司祭の日記(Journal d’un curé de campagne)』は、小さな村に赴任した若い司祭の苦難を描いた1951年のフランス映画である。ジョルジュ・ベルナノスの同名の小説(1936年)を原作に忠実に映画化している。監督・脚本はロベール・ブレッソン。モノクロ。115分。

あらすじ

若い司祭(クロード・レデュ)が北フランスの村、アンブリクールに赴任する。

司祭はその理想主義のために、村の人々から疎外される。

公教要理のクラスの少女たちの一人、セラフィータは司祭にいたずらを仕掛けて嘲笑する。

司祭は胃の病気のためにパンとワインしか口にしなかったが、司祭の同僚たちは彼の貧しい食生活と禁欲的な生活態度を批判する。

伯爵の娘シャンタルの家庭教師のルイーズは、シャンタルのことで司祭に相談を持ちかける。伯爵がルイーズと浮気をしていたため、シャンタルは父とルイーズを憎んでいた。

司祭は伯爵の城館を訪れ、伯爵夫人と話す。伯爵夫人は息子を亡くしてから神への信仰を失っていたが、司祭は夫人に信仰を取り戻させる。

しかし、夫人はその翌晩に心臓発作で急死してしまう。シャンタルは、司祭が夫人に厳しい言葉を浴びせて夫人の死期を早めたという虚偽の噂を広める。

解説

ブレッソンは本作において、非職業俳優の起用と芝居がかった演技や感情表現の排除によって特徴づけられる、「シネマトグラフ」と呼ばれる独自のミニマリスティックな演出技法を確立した。

本作はヴェネツィア国際映画祭の国際賞とイタリア批評家賞、ルイ・デリュック賞を含む多数の賞を受賞した。

アンドレイ・タルコフスキーは1972年に選出した映画史上のトップ10の筆頭に本作を挙げている。

脚本家・映画監督のポール・シュレイダーは本作から多大な影響を受けている。シュレイダーはマーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』(1976年)の脚本を書くにあたり、本作の主人公をトラヴィス・ビックルの人物造形の霊感源とした。シュレイダーが監督・脚本を担当した映画『魂のゆくえ』(2017年)は、本作の影響を強く受けている。

映画『田舎司祭の日記』4Kデジタル・リマスター版予告編