概説
『はなればなれに(Bande à part)』は、共謀して強盗を働く2人の男と1人の女の悲喜劇を描いた1964年のフランスの劇映画である。
監督・脚本はジャン=リュック・ゴダール。モノクロ。97分。
脚本はドロレス・ヒッチェンズの犯罪小説『愚か者の黄金』(1958年)の翻案。
音楽はミシェル・ルグラン。
プロットの概要
冬のパリ。オディールという名の若い女(アンナ・カリーナ)が、英語教室でフランツ(サミ・フレー)という名の男と知り合う。フランツとフランツの友人のアルチュール(クロード・ブラッスール)はオディールを口説こうとするが、オディールは優しいフランツよりも粗野で強欲なアルチュールの方に惹かれてゆく。
オディールはフランツに、自分と叔母のヴィクトリアとストルツという名の男が一緒に住んでいるパリ郊外のジョアンヴィルの家に大金が隠されているという話をする。
アルチュールとフランツはオディールの家から金を盗む計画を立て、オディールも計画に加わる。
解説
『はなればなれに』は三角関係の恋愛物語とフィルム・ノワール風の犯罪ドラマを融合させた娯楽的な映画である。
ゴダールの作品の中でも最も分かりやすくて一般大衆向けの映画の一つである。
オディール、アルチュール、フランツがカフェでR&Bの曲に合わせて踊るダンスのシーンと、3人が最短でルーヴル美術館を駆け抜ける世界記録の更新に挑戦するシーンが印象的である。
ダンスのシーンはハル・ハートリー監督の『シンプルメン』(1992年)やクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』(1994年)に影響を与えている。
ベルナルド・ベルトルッチは『ドリーマーズ』(2003年)で本作のルーヴル美術館のシーンを再現した。