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平井英子: スター☆デラックス(2014/1928-1941年)

『スター☆デラックス』は、昭和初期(戦前・戦中)に童謡・流行歌の分野で活躍した1918年東京生まれの日本の女性歌手、平井英子の代表的な楽曲を集めた編集盤。

録音年は1928年から1941年。2014年にビクターエンタテインメントから2枚組CDとして発売された(全51曲)。

オリジナルのSP原盤からの復刻だが音質は良好。

CD1は1928年から1934年に発売された童謡・学校唱歌を収録。CD2は主に1937年から1941年に発売された、ジャズ、ハワイアン、ラテン(タンゴ、ルンバ)、大陸歌謡などの要素を採り入れたモダンな流行歌と洋楽カヴァーを収録。CD2には戦時(銃後)歌謡も収録されている。

平井英子の甲高い、とろけるような陶酔感のある美声で歌われる戦前・戦中の楽曲がクリアな音質で聴ける貴重な復刻である。

CD1に収録の「證城寺の狸囃子」(1929年)、「あの町この町」(1928年)、「こがねむし」(1928年)、「兎のダンス」(1929年)などの童謡の大半は野口雨情(作詞)・中山晋平(作曲)による作品で、そのほとんどは平井バージョンが初録音である。

「茶目子の一日」(1929年)は佐々紅華が1913年に作詞作曲した童謡オペレッタで、歌詞は大正時代(1910年代頃)の都会に住む少女の一日(小学生の茶目子が朝起きて朝ご飯を食べ、学校に行き、授業(算術、読本)を受け、晩に活動写真を観に行く)を描写している。

この曲は1919年から1933年にかけて4回発売されているが、1929年の平井英子のバージョンは大ヒットとなり、平井バージョンを使用したレコード・トーキー(レコードの音声と同期する映画)として短編アニメ映画が制作され、1931年に公開された。

[1931] Chameko no Ichinichi

茶目子が学校で読本を読む部分で、足で立って歩けない人々に対する差別用語「ゐざり」が使用されているため、この部分がカットされているCDやDVDがあるが、この編集盤はノーカット版を収録している。

「タバコやの娘」(1937年。岸井明とのデュエット)は、キリスト教の賛美歌『まもなくかなたの』(Shall We Gather at the River?)のメロディーを使用したコミックソングのヒット曲。

煙草屋の娘(平井英子/岸井明)昭和12年

「姑娘(クーニャン)可愛いや」(1939年。岸井明とのデュエット)はザビア・クガート(Xavier Cugat)の曲「Chino Soy」のカヴァー。

「ミッキイ・マウスの結婚」の日本語カヴァー(1934年)と、アメリカのクラシック曲・伝承曲のメドレー「新世界の旅-アメリカ名曲集」(1940年)は、太平洋戦争前の日本におけるアメリカ文化への嗜好をうかがわせる興味深い録音。