概説
『ブラックパンサー(Black Panther)』は、マーベル・コミックの同名のキャラクターをベースにした、2018年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画である。
マーベル・スタジオが製作し、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズが配給する、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の第18作目である。
本作は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)で描かれたワカンダ王ティ・チャカの死とアベンジャーズの内戦の後の、ティ・チャラがワカンダの王位を継承するまでの経緯を描いている。
主演はチャドウィック・ボーズマン(ティ・チャラ/ブラックパンサー)。監督はライアン・クーグラー。134分。
あらすじ
数千年前、ヴィブラニウムと呼ばれる鉱石を含む隕石がアフリカ大陸に落下した。5つの部族がその鉱石を巡って戦争を始めた。一人の戦士がヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブを摂取し、超人的な力を獲得して「ブラックパンサー」となった。彼はジャバリ族を除く4つの部族をまとめてワカンダ国を建国した。
それから数世紀を経て、ワカンダ人たちは開発途上国を装って世界から隔絶しながら、ヴィブラニウムを用いて高度な技術と文明を築き上げた。
1992年、ワカンダ王のティ・チャカ(ジョン・カニ)がカリフォルニア州オークランドで隠密活動をしていた弟のウンジョブ(スターリング・K・ブラウン)を訪ねる。ウンジョブがワカンダからヴィブラニウムを盗んで武器密売業者のユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)に渡していたため、ティ・チャカはウンジョブを殺害する。
2016年、ティ・チャカが爆弾テロによって殺害される。ティ・チャカの息子のティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は王位継承のためにワカンダに帰還する。戴冠の儀式で、ジャバリ族のリーダーのエムバク(ウィンストン・デューク)はティ・チャラに王位を懸けた戦いを挑むが、ティ・チャラはエムバクを打ち負かし、ワカンダの新国王となる。
その頃、クロウは、アメリカ海軍の特殊部隊隊員で秘密工作員のエリック・”キルモンガー”・スティーヴンス(マイケル・B・ジョーダン)と協力してロンドンのグレートブリテン博物館からヴィブラニウムを盗み出す。クロウを逮捕するため、ティ・チャラは、ワカンダの国王親衛隊「ドーラ・ミラージュ」の隊長のオコエ(ダナイ・グリラ)、ティ・チャラの元恋人でワカンダのスパイ「ウォー・ドッグ」の一員のナキア(ルピタ・ニョンゴ)とともに韓国の釜山に赴く。
中央情報局(CIA)のエヴェレット・K・ロス(マーティン・フリーマン)と協力して、ティ・チャラはクロウを捕えるが、キルモンガーにクロウを奪還され、ナキアを庇ったロスは重傷を負う。ティ・チャラはロスをワカンダに連れてゆく。ティ・チャラの16歳の妹で科学者のシュリ(レティーシャ・ライト)がロスを治療し、ロスは一命を取り留める。
キルモンガーはクロウを殺害し、ワカンダにやって来る。キルモンガーはティ・チャラと王族たちに、自分がウンジョブの息子のウンジャダカであることを明かし、王位継承権を主張する。キルモンガーは父の遺志を継いで、ワカンダの技術と武器を世界中のアフリカ系の人民を抑圧から解放するために使おうとしていた。ティ・チャラとキルモンガーの間で、王位を懸けた戦いが始まる。
解説
『ブラックパンサー』は、アフリカの伝統的な文化とハイ・テクノロジーが混在する、独特のアフロフューチャリズム的な世界観が特徴のスーパーヒーロー映画である。近未来が舞台のバトルアクション映画としてのクオリティーが高い。ハイテクな装備や遠隔操縦機(車、ジェット機)が登場するアクションシークエンスは見ごたえがある。
本作は、第91回アカデミー賞で作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞の3冠を獲得するなど、多くの賞を受賞した。