概説
『羅生門』は、平安時代(8世紀末-12世紀後半)を舞台に、ある武士の殺害事件を描いた1950年の日本の時代劇/犯罪ドラマ/サイコスリラー映画である。人間のエゴイズムと人間の善性を信じようとする希望との葛藤がテーマである。
物語の大筋は芥川龍之介の短編小説『藪の中』(1922年)に基づいており、舞台設定と一部のエピソードは芥川のもう一つの短編小説『羅生門』(1915年)が基になっている。
監督は黒澤明。88分。
あらすじ
戦乱と疫病と天災で荒れ果てた平安時代の京の都。雨やどりのために羅生門に駆け込んだ下人(上田吉二郎)は、杣売り(志村喬)と旅法師(千秋実)に出会う。
杣売りと旅法師は下人に、彼らが目撃者として出廷した奇妙な殺人事件の裁きについて語る。
盗賊の多襄丸(三船敏郎)が山中で侍の金沢武弘(森雅之)とその妻の真砂(京マチ子)を襲い、妻を強姦し、侍を殺害した廉で逮捕された。
多襄丸と真砂は裁きの場に召喚され、事件について証言し、続いて巫女が金沢の霊を呼び出して金沢の視点から証言するが、彼らの証言は互いに食い違っていた。
解説
撮影監督の宮川一夫による高コントラストのモノクロ映像が極めて美しい。
本作は1951年にヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、1952年に米国アカデミー賞の名誉賞を受賞した。
角川映画は2008年にアメリカの映画芸術科学アカデミー、東京国立近代美術館フィルムセンターとの共同事業で本作のデジタル復元を行った。