『忘れられた人々(Los Olvidados)』は、ルイス・ブニュエル監督の1950年のメキシコのドラマ映画。ブニュエルのメキシコ時代の傑作の一つ。87分。
メキシコシティの貧困地域の人々を描いた、1940–1950年代のイタリアのネオレアリズモのような社会派リアリズム映画だが、シュルレアリスム(超現実主義)の要素も含んでいる。
本作でブニュエルは、シニカルな無神論者として、登場人物たちを美化せず、感傷を交えずに、現実がいかに醜く救いがないかを観客に見せつける。
物語は、孤児で不良少年たちのグループのリーダー格のハイボ(ロベルト・コボ)と、グループの一人で、母親(エステラ・インダ)から養育を放棄されていて愛情に飢えているペドロ(アルフォンソ・メヒア)を中心に展開する。
少年刑務所を脱走してきたハイボは不良少年たちのグループに再び加わる。ハイボは仲間たちと、盲目の路上演奏家ドン・カルメロ(ミゲル・インクラン)を襲撃するなどの犯罪を繰り返す。
仲間のフリアン(ハビエル・アメスクア)が密告したせいで自分が少年刑務所送りになったと思い込んだハイボは、ペドロの目の前でフリアンを殴り、殺してしまう。
物語は悲劇的な結末を迎えるが、2002年にメキシコ国立自治大学のフィルム倉庫で別エンディング(ハッピー・エンディング)が発見された。
撮影監督はガブリエル・フィゲロア。
1951年のカンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞。
2003年にユネスコの「世界の記憶」に登録された。
