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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年)

概説

『ボウリング・フォー・コロンバイン』(英語原題: Bowling for Columbine)は、マイケル・ムーアが脚本・製作・監督・ナレーションを務めた2002年のドキュメンタリー映画である。

ムーアは本作で1999年のコロンバイン高校銃乱射事件を主な題材として扱っており、2000年のケイラ・ローランド殺害事件についても取材を行っている。

テーマはシリアスだが、本作はユーモラスな風刺やアニメーションのパートなども含んでいる。

アメリカ合衆国、カナダ、ドイツの共同制作。120分。

コロンバイン高校銃乱射事件(1999年)について

コロンバイン高校銃乱射事件は、1999年4月20日にアメリカ合衆国コロラド州コロンバインのコロンバイン高等学校で発生したスクールシューティングおよび爆破未遂事件である。

同校の12年生(日本の高校3年生に相当)の生徒2名、エリック・ハリス(18歳)とディラン・クレボルド(17歳)が校内で12名の生徒と教師1名を射殺した。12名の生徒のうち10名は学校の図書館で殺害された。ハリスとクレボルドはその後図書館で自殺した。

彼らが使用した銃はすべて店や展示会などで合法的に入手したものだった。銃弾の多くは近くの大規模小売店のKmartで買ったものだった。

ケイラ・ローランド殺害事件(2000年)について

2000年2月29日、ミシガン州マウント・モリス・タウンシップのビューエル小学校でケイラ・ローランドという名の6歳の少女が6歳のクラスメイトの少年に射殺された。

少年の母親はミシガン州の「福祉から労働へ」プログラムの元で働いており、少年は8歳の兄とともに叔父の家で暮らしていた。少年は叔父の家で銃を発見していた。

解説

本作は主にムーアによるドキュメンタリーのパートと記録映像の引用で構成されている。ドキュメンタリーのパートでは、ムーアは何人かのキーパーソンにアポなしの突撃取材を試みている。

『ボウリング・フォー・コロンバイン』というタイトルは、コロンバイン高校銃乱射事件の犯人であるハリスとクレボルドが学校の襲撃事件を起こした当日の午前6時にボウリングの授業に参加していたという話に基づいている。しかし、この話は後に誤りだったことが判明した。ゴールデン警察署のグレン・ムーアは、2人は襲撃当日に学校を休んでいたと結論づけた。

『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、米国における銃を用いた殺人の多発の根本的な原因を探ることを試みた興味深い映画である。

ムーアは本作で、事件の関係者や各国の一般市民、アニメーション『サウスパーク』(1997年~)の共同制作者のマット・ストーン(コロンバインに近いコロラド州リトルトンで育った)、俳優で当時全米ライフル協会(NRA)の会長を務めていたチャールトン・ヘストン、ミュージシャンのマリリン・マンソン(コロンバイン高校銃乱射事件の犯人に影響を与えたとしてマスメディアから批判された)を含むさまざまな人々にインタビューを行い、アメリカ合衆国の銃殺事件の発生率が他国に比べてなぜ高いのかという問題を解明しようとする。

銃や弾薬が簡単に入手でき、若者や子供の手の届くところにあるという状況が、米国における銃犯罪の多発の要因の一つであることは明らかである。

ムーアは本作で、政治活動家としてこの状況を改善するためにKmartに対してロビー活動を行う。

ムーアはコロンバインの生存者2人、マーク・テイラーとリチャード・カスタルドをミシガン州トロイのKmart本社に連れて行き、銃弾の販売停止を要求する。

翌日、彼らは地元メディアの報道陣を伴ってKmart本社を再訪する。同社のコミュニケーション部門の部長は、同社が90日以内に拳銃の弾薬の販売を段階的に停止すると発表する。

本作のテーマは銃規制の問題にはとどまらない。米国とカナダの比較を通して、ムーアは米国における銃犯罪の高い発生率の背景としての「恐怖の文化」(アメリカの社会学者のバリー・グラスナーが普及させた概念)についても考察する。

ムーアによると、米国の政府とメディアは恐怖を煽ることによってアメリカ人を武装へと導いており、それが銃による暴力の蔓延の一因になっている。この恐怖の再生産の背後には、利益を追求する銃器製造会社が存在している。

米国における恐怖の文化は、奴隷制と黒人差別を歴史的背景とする、白人の黒人に対する恐怖に根差している。

このような観点から、ムーアはネイティブ・アメリカンの虐殺から現代に至るまでの米国における暴力と恐怖の歴史を「アメリカ合衆国略史」(A Brief History of the United States of America)というタイトルの映画内短編アニメーションとして戯画化している。

映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』は2002年にミシガン州のアナーバー映画祭でラフカット形式で初の公開上映が行われ、2002年のカンヌ国際映画祭で初の正式上映が行われた。

本作は、2002年のカンヌ国際映画祭の55周年記念特別賞、2003年のセザール賞(フランス)の最優秀外国語映画賞受賞、2003年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を含む多数の賞を受賞した。

MGMホーム・エンターテイメントは2003年に本作をVHSとDVDで発売した。

クライテリオン・コレクションは2018年に本作のデジタル修復版をDVDとブルーレイで発売した。