概説
『魔笛』(Die Zauberflöte)K. 620は、ザルツブルク出身の18世紀の音楽家でウィーン古典派の作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが最晩年の1791年に作曲した2幕のオペラである。
ドイツの興行主・台本作家・俳優・歌手のエマヌエル・シカネーダーがドイツ語の台本を手がけた。
本作はモーツァルトの死去の約2か月前の1791年にウィーンのフライハウス(アウフ・デア・ヴィーデン劇場)で初演された。
台詞による対話と親しみやすいメロディーを含む、「ジングシュピール(歌芝居)」(Singspiel)形式による魔術的な世界観のオペラである。
本作は後のドイツ・ロマン派オペラに多大な影響を与えた。
舞台は古代のエジプト。夜の女王(コロラトゥーラ・ソプラノ)の依頼で、魔法の笛を持つ王子タミーノ(テノール)と魔法の鈴を持つ鳥刺しのパパゲーノ(バリトン)が邪悪な悪魔のザラストロ(バス)にさらわれた夜の女王の娘パミーナ(ソプラノ)を救出しようとする。
パパゲーノのアリア「私は鳥刺し」と、非常に高い音域(F6)とコロラトゥーラ・ソプラノの超絶技巧を含む夜の女王の2つのアリア、「ああ、恐れおののかなくてもよいのです、わが子よ!」と「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」はよく知られている。
クラウディオ・アバドの2005年の録音について
クラウディオ・アバドはアルノルト・シェーンベルク合唱団とマーラー室内管弦楽団を指揮して2005年9月にイタリアのモデナのテアトロ・コムナーレで本アルバムを録音した。オーケストラはティンパニ、トランペット、トロンボーンなどの古楽器を含んでいる。
本アルバムは2006年にドイツ・グラモフォン(Deutsche Grammophon)から2枚組CDとして発売された。
本アルバムは、軽快なテンポ、生き生きとした声楽陣、ジングシュピールとしての演劇的な側面の重視が特徴である。
キャストはドロテーア・レシュマン(パミーナ)、エリカ・ミクローシャ(夜の女王)、クロストフ・シュトレール(タミーノ)、ルネ・パーペ(ザラストロ)、ハンノ・ミュラー=ブラハマン(パパゲーノ)他。