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木靴の樹(1978年)

概説

『木靴の樹(L’albero degli zoccoli)』は、19世紀末の北イタリア、ロンバルディア州ベルガモを舞台に小作農を営む四家族の生活を描いた1978年のイタリア映画である。

監督・脚本・撮影・編集はエルマンノ・オルミ。186分。

あらすじ

村には、小作人として農場に住み込むバティスティ一家、洗濯女として働きながら6人の子どもと父を養うルンク未亡人、美しい娘マッダレーナのいるブレナ一家、けちな男フィナールとその家族の四家族が住んでいた。

彼らは土地を持たない貧しい農民たちで、土地と家屋、一部の家畜を領主から借りており、農場内の共同家屋で互いに助け合いながら暮らしていた。

バティスティの息子のミネクは村から遠く離れた学校に歩いて通っていたが、ある日、片方の木靴が割れてしまう。バティスティはミネクのために、小川のほとりのポプラの樹を伐って新しい木靴を作ろうとするが、それは領主によって堅く禁じられていた行為だった。

解説

本作はネオレアリズモの伝統を継承する自然主義的な作風によって制作されている。出演者はすべてベルガモ地方の農民とその家族である。撮影はオール・ロケーションであり、ほぼ完全に自然光のみで撮影されている。

本作は、過酷な条件のもとで敬虔なカトリック教徒として生きていた当時の小作農の生活─農作業、祭り、結婚、出産などの日々の出来事─を、四季の移り変わりとともに生き生きと写し出している。

コローやミレーなどの19世紀フランスのバルビゾン派の写実的な風景画に似た、絵画的で美しい映像が印象に残る。

J.S.バッハのオルガン曲が劇伴として使用されている。

本作は1978年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。

映画『木靴の樹』予告