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花とアリス(2004年)

概説

『花とアリス』(英題:Hana and Alice)は、岩井俊二監督による2004年の日本の青春恋愛映画である。監督・脚本・製作・編集・音楽をすべて岩井が兼任した。

本作は、キットカットの日本発売30周年を記念してネスレコンフェクショナリー(現・ネスレ日本)が運営するウェブサイト「ブレイクタウン」で2003年3月24日にネット配信された全3章・4話の短編映画シリーズ(「花の恋」「花の嵐 I 秘密」「花の嵐 II 乱舞」「花とアリス」)をもとに、長編映画として再構築された作品である。

撮影監督は篠田昇、撮影は角田真一、美術は種田陽平。

主演は鈴木杏(荒井花)と蒼井優(有栖川徹子〔アリス〕)、宮本雅志役に郭智博。

主な客演は相田翔子、阿部寛、平泉成、木村多江、大沢たかお、広末涼子、伊藤歩、ふせえり。

配給は東宝。135分、スタンダードサイズ、カラー。

2004年3月13日、日本国内で劇場公開された。

予告編

TRAILER – Hana and Alice (2004)
When two best friends develop a crush on the same boy, they develop a plan to trick him into dating them.

プロットの概要

中学生の荒井花(通称ハナ)と親友の有栖川徹子(通称アリス)は、同じバレエ教室に通う間柄である。ある日、花は通学途中で見かけた高校生・宮本雅志に一目惚れし、彼が乗る電車に乗り込んで冬の間ひそかに後をつけるようになる。

翌春、花とアリスは雅志が通う手塚高校に進学する。雅志が落語研究会に所属していたことから、花もこの部に入部する。密かに雅志を尾行し続けていた花は、雅志がシャッターに頭をぶつけて気を失う場面に居合わせ、意識が朦朧とした彼に対し、とっさに「あなたは記憶喪失で、私はあなたの恋人だ」という嘘をつく。雅志はこの嘘を信じ込み、二人は交際を装い始める。

一方、アリスは芸能事務所にスカウトされ、モデルオーディションを受け始める。花は自分の嘘の辻褄を合わせるため、アリスに雅志の元カノのふりをさせるが、これがきっかけで雅志はアリスに恋心を抱いてしまう。ここに至って、花・アリス・雅志の三者は奇妙な三角関係に陥っていく。

解説

制作の背景

本作は、前年(2003年)にネスレのキットカット30周年記念企画としてウェブ配信された短編映画シリーズを土台に、岩井俊二自身の手で長編映画として再構築されたものである。短編版は現在ウェブ上での配信を終了しているが、長編版DVDの特別版付属ディスクに収録されており、一部に長編版とは異なる編集・追加シーンが含まれる。

撮影監督の篠田昇は、『Love Letter』(1995年)、『スワロウテイル』(1996年)、『四月物語』(1998年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)など、岩井の主要作品の多くを手がけてきた盟友である。篠田は本作の劇場公開から約3か月後の2004年6月22日、肝不全のため52歳で死去しており、結果として本作は篠田にとって岩井との最後の共同作業となった。

撮影

本作はHD(ハイビジョン)デジタルビデオで撮影されている。篠田昇が撮影監督を務め、実際の撮影は角田真一が担当した。画面サイズはスタンダードサイズ(アカデミー比)が採用されている。

蒼井優演じるアリスがオーディション会場で即興的にバレエを踊る終盤のクライマックスは本作の見どころの一つとして知られる。劇中でカメラマン役から「バレエが踊れるなら踊ってみろ」と半ば揶揄するように言われたアリスが、その場にあった紙コップとガムテープを爪先に巻いて簡易トウシューズに見立て、制服姿のまま踊り出す場面であり、蒼井優自身のバレエ経験を生かした演技として繰り返し言及されている。

引用・オマージュ

劇中には手塚治虫の『鉄腕アトム』(1963–1966年)や高畑勲の『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)といった往年のアニメーション作品への言及・引用が見られ、これらの使用にあたっては手塚プロダクションおよび東映アニメーションが協力クレジットされている。花たちが通う高校の名が「手塚高校」であることも、この引用群と呼応する仕掛けと見ることができる。

また、落語研究会の部員たちの高座名「花屋ピュンピュン丸」「モーレツ亭ア太郎」「爆発屋五郎」は、それぞれ往年の人気アニメ『ピュンピュン丸』(1967/1969–1970年)、『もーれつア太郎』(1969–1970年)、『ばくはつ五郎』(1970年)に由来する言葉遊びになっている。

評価

蒼井優は本作での演技により、2005年の第14回日本映画プロフェッショナル大賞で最優秀主演女優賞を受賞した。

派生作品

本作を原作として、岩井俊二自身の手による絵コンテをもとにしたコミカライズ『花とアリス』(角川書店、2004年)、篠田昇・井上貴之・アイビー・チェンの撮影によるオリジナルストーリーの写真集『花とアリス寫眞舘』(扶桑社、2004年)が刊行されている。

2015年には、本作の前日譚を描いた長編アニメーション映画『花とアリス殺人事件』が公開された。脚本・監督は岩井が再び手がけ、声の出演も蒼井優・鈴木杏が続投している。同作は実写映像をトレースして作画する「ロトスコープ」の手法で制作され、2015年のアヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に正式出品されたほか、第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞した。

公開

日本国内では2004年3月13日に東宝配給で劇場公開された。その後、2004年から2005年にかけてアジア各地域でも劇場公開され、あわせて欧米では劇場一般公開ではなく映画祭上映という形で紹介されている。2005年6月8日にシアトル国際映画祭で上映されたほか、ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルでも上映されている。

ホームメディア

日本国内では2004年10月8日にDVD(特別版・通常版)が発売された。特別版には短編版を収録した特典ディスクが付属する。2012年9月6日には、HDリマスター版のBlu-rayがポニーキャニオンより発売されている。

その他の特記事項

エンドロールはすべて英語表記で記載されているが、出演者の一人・梶原善の表記が誤って「Kajiwara Zen」となっている(正しくは「Kajihara Zen」)。

また、劇中に登場する駅名や学校名には、漫画家の名前に由来するものが多く用いられている。

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