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ドライヴ(2011年)

概説

『ドライヴ(Drive)』は、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の2011年のアメリカ合衆国の犯罪アクション/ドラマ映画である。ロサンゼルスを舞台に、人妻との恋愛関係を経て裏社会の血なまぐさい抗争に巻き込まれるドライバーの物語を描いている。脚本はジェイムズ・サリスの同名の小説(2005年)を下敷きにしている。100分。

あらすじ

そのドライバー(ライアン・ゴズリング)は、カリフォルニア州ロサンゼルスの自動車修理工場で整備工として働きながら、家族も友人もいない孤独な生活を送っていた。

卓越した運転技術を持つそのドライバーは、アルバイトで映画のスタント・ドライバーとして働き、夜は強盗の逃走車を運転する仕事もしていた。ドライバーの仕事は、すべて自動車修理工場の経営者のシャノン(ブライアン・クランストン)が管理していた。

シャノンは金儲けのためにドライバーをカーレースに出場させる計画を立て、犯罪組織のボスのバーニー・ローズ(アルバート・ブルックス)とバーニーの相棒のニーノ・”イジー”・パオロッツィ(ロン・パールマン)に出資を依頼する。

ドライバーは同じアパートの住人のアイリーン・ガブリエル(キャリー・マリガン)と知り合う。アイリーンの夫は刑務所に服役中で、アイリーンは幼い息子のベニシオと二人で暮らしていた。ドライバーは二人と親密な関係になる。

アイリーンの夫のスタンダード・ガブリエル(オスカー・アイザック)が刑務所から出所する。スタンダードは、アルバニア人のギャングのクリス・クック(ジェームズ・ビベリー)に、借金返済のために質屋に強盗に入って4万ドルを奪え、断れば家族の命はない、と脅される。スタンダードの借金のためにアイリーンとベニシオが命の危険に晒されていることを知ったドライバーは、質屋強盗の逃走車の運転手を無償で務めると申し出る。

スタンダードはブランチという名の女の共犯者(クリスティーナ・ヘンドリックス)とともに質屋に入る。ブランチは店から金を奪ってドライバーの車に戻って来るが、スタンダードは質屋の店主に射殺される。ドライバーとブランチは車で逃走し、別の車がドライバーの車を追跡する。

ブランチが持ち帰ったバッグには100万ドルが入っていた。ドライバーは、質屋に隠されていた東海岸のイタリア系マフィアの大金を盗み出すためにスタンダードが利用されていたことを知る。計画の首謀者はニーノだった。

マフィアの報復から身を守るため、バーニーとニーノは強盗に関わった者全員を殺そうとする。ブランチはクックの手下の一人にショットガンで撃たれて殺され、クックとシャノンはバーニーに殺される。

ドライバーは追っ手を殺しながらマフィアの金を持って逃走し、アイリーンとベニシオの命を守るためにニーノとバーニーに対して反撃を開始する。

解説

『ドライヴ』は、ジョージ・スティーヴンス監督の西部劇映画『シェーン(Shane)』(1953年)に似たシンプルなストーリー、B級アクション映画とラブロマンスの要素、スタイリッシュで芸術的な映像、バイオレンス・アクションが特徴の犯罪アクション映画/ネオ・ノワールである。

残酷で血なまぐさい殺人シーンが多いので注意が必要である。

サウンドトラックの電子音楽がクールな印象を醸し出している。

グァルティエロ・ヤコペッティ、フランコ・プロスペリ監督の映画『ヤコペッティの残酷大陸(Addio zio Tom)』(1971年)のテーマ曲「オー・マイ・ラヴ(Oh My Love)」(リズ・オルトラーニ作曲)が、ドライバーがニーノを追うシークエンスで使用されている。

本作は英国アカデミー映画賞の作品賞、監督賞、助演女優賞(キャリー・マリガン)、編集賞の4部門でノミネートされ、アカデミー賞の音響編集賞にもノミネートされた。

レフンは本作で第64回カンヌ国際映画祭の監督賞を受賞した。

映画『ドライヴ』予告編