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厳重に監視された列車(1966年)

概説

『厳重に監視された列車(Ostře sledované vlaky)』は、イジー・メンツェル監督の1966年のチェコスロバキアの映画である。第2次世界大戦中にナチス・ドイツに併合され保護領化されたチェコスロバキアの小村を舞台に、性の悩みを抱えた若い駅員見習いの悲喜劇を描いている。ボフミル・フラバルの同名の小説(1965年)が原作。脚本はイジー・メンツェルとボフミル・フラバルが共同で手がけている。モノクロ。93分。

あらすじ

青年ミロシュ・フルマ(ヴァーツラフ・ネツカーシュ)は、チェコスロバキアの村コストムラティの小さな鉄道駅の操車係見習いとして採用される。ミロシュの夢は、列車の運転士の職を早期退職して働かずに安逸な生活を送っている父のようになることだった。

ミロシュは、鳩の飼育に精を出す駅長ランスキー(ヴラジミール・ヴァレンタ)と、女好きの操車係フビチカ(ヨゼフ・ソムル)の元で働き始める。

ミロシュは時折、駅に停車する列車の車掌として働いている恋人のマーシャ(イトカ・ベンドヴァー)と会っていた。ミロシュはまだ童貞で、マーシャとはプラトニックな関係を保っていた。

ある晩、ミロシュはマーシャに誘われて写真館を経営しているマーシャの叔父の家に泊まる。ミロシュはマーシャとの性交を試みるが、早漏のために失敗する。

翌朝、ミロシュが家に帰ろうとしている時に、マーシャの叔父の家と写真館が空爆によって破壊される。マーシャの叔父は、自分が家で寝ていたのにもかかわらず奇跡的に一命を取り留めたことに気付き、高笑いする。

男としての自信を失い、人生に絶望したミロシュは、売春宿で両手首を切って自殺しようとするが、血を流して倒れているミロシュをたまたま発見した住宅改修業者がミロシュを病院に担ぎ込み、ミロシュは一命を取り留める。

病院の若い医師のブラベツ(イジー・メンツェル)はミロシュに、性行為の初体験を手伝ってくれる経験豊富な女性を探すようにと助言する。

ミロシュは駅長のランスキーの妻に性交を教えてもらえないかと頼むが、断られる。

夜勤中に若い電信技手のズデニチカ(イトカ・ゼレノホルスカー)といちゃついていたフビチカは、ズデニチカの腿と尻にオフィスのゴム印で判子を押す。娘の身体に押された判子を発見したズデニチカの母は警察に届け出るが、警察は笑って相手にしない。

ある晩、暗号名「ヴィクトリア・フライエ」(ドイツ語で「勝利と自由」の意)を名乗る反ナチ抵抗組織の魅力的な女性(ナジャ・ウルバーンコヴァー)が駅にやって来て、明日駅を通過する弾薬を満載したナチス・ドイツの列車を爆破するための時限爆弾をフビチカに手渡す。

フビチカはヴィクトリアが休んでいる駅長室にミロシュを押し込む。ヴィクトリアはミロシュを優しく抱き寄せる。

翌朝、ミロシュは自信に満ちあふれた表情で職務に就く。

ナチス・ドイツの列車が駅に近づいてきた時、ナチスの協力者で「厳重に監視された列車」(ドイツ軍の物資を運ぶ列車)の担当者のツェドニツェク参事官(ブラスティミル・ブロドスキー)が、フビチカがズデニチカにゴム印を押した件の聴聞会を開くために、ズデニチカとズデニチカの母を連れて駅にやって来る。

聴聞会に巻き込まれたフビチカの代わりに、ミロシュは時限爆弾を線路の上の跨線信号台から列車の上に落とすが、列車上の機関銃手がミロシュに向かって銃を乱射し、ミロシュは列車の上に落ちてしまう。

解説

『厳重に監視された列車』は、1960年代のチェコ・ヌーヴェルヴァーグ映画の一つとして知られる青春コメディー映画である。

結末は悲劇的だが、基本的にはユーモラスな映画である。悲劇と喜劇の間で宙吊りになっているような両義性と、性的な暗喩の多用が特徴である。

本作は、1966年のマンハイム=ハイデルベルク国際映画祭で大賞、1968年の第40回アカデミー賞で外国語映画賞を、それぞれ受賞している。

Closely Watched Trains – Trailer