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プラン9・フロム・アウタースペース(1957年)

『プラン9・フロム・アウタースペース(Plan 9 from Outer Space)』は、「外宇宙から来た墓荒らし」の恐怖を描いた1957年のアメリカ合衆国のSFホラー映画。製作・脚本・監督・編集はエド・ウッド。主演はグレゴリー・ウォルコット、ベラ・ルゴシ、モナ・マッキノン、トー・ジョンソン、ヴァンパイラ(メイラ・ヌルミ)、ライル・タルボット。モノクロ。79分。

本作の導入部と結末部で霊能力者・予言者のクリズウェルが本人役で出演している。クリズウェルはナレーションも担当している。

カリフォルニア州サンフェルナンドの墓地で老人(ベラ・ルゴシ)が会葬者たちとともに妻の葬儀を執り行う。老人の妻は2人の墓掘り人によって墓に埋葬される。

カリフォルニア州バーバンクに向かうアメリカン・フライト812便を操縦していたパイロットのジェフ・トレント(グレゴリー・ウォルコット)と副操縦士のダニーは、サンフェルナンドの上空で空飛ぶ円盤に遭遇する。円盤は墓地に着陸する。

老人の妻は吸血鬼のようなゾンビ(メイラ・ヌルミ)となって墓から蘇り、墓掘り人を襲う。

老人は交通事故で死亡する。老人は墓地の納骨堂に埋葬され、老人の葬儀が執り行われる。会葬者たちは墓掘り人の遺体を発見する。

ダニエル・クレイ警視(トー・ジョンソン)と警官たちが現場に到着し、事件の捜査を開始する。

墓地に隣接する自宅で、パイロットのトレントは妻のポーラ(モナ・マッキノン)に円盤を見たという話をする。

円盤は再び墓地に着陸する。老人はゾンビとなって蘇る。クレイ警視は2体のゾンビに殺される。クレイ警視の葬儀が墓地で執り行われ、クレイ警視は墓に埋葬される。

ハリウッドやワシントンD.C.で空飛ぶ円盤が相次いで目撃される。

米軍と異星人たちは交信によって互いに意思の疎通を図ろうとするが、うまくいかない。

円盤攻撃作戦の指揮を取るトーマス・エドワーズ大佐は戦車隊にロケット砲で円盤を砲撃させるが、円盤は消え失せる。

2人の異星人、エロス司令官とその助手のタンナが円盤から宇宙ステーション7に帰還する。エロスは異星人の支配者に、死者を蘇らせることによって地球人に力を示し、異星人の存在を信じさせる「第9計画」について報告する。彼らは死者たちの松果体と脳下垂体に電極を打ち込むことによって死者たちを操っていた。

ポーラが1人で自宅にいる時に、老人のゾンビが寝室に侵入してくる。ポーラは墓地に逃げ込む。クレイ警視がゾンビとなって墓から蘇る。ポーラは3体のゾンビに追い回され、気を失って倒れる。ポーラは通りかかった車の運転手に救出される。

墓地を調査したジョン・ハーパー警部補と警官たちは、クレイ警視の遺体が墓から消えているのを発見する。

ペンタゴン(アメリカ国防総省)ではロバーツ将軍(ライル・タルボット)がエドワーズ大佐にエロスからのメッセージの録音を聞かせ、大佐にサンフェルナンドで円盤を発見し、異星人の目的を探るようにと指示する。

エロスは宇宙ステーション7で支配者に第9計画の状況を報告する。支配者は、大勢の死者を蘇らせて地球上の各首都でゾンビの大群を行進させるエロスの計画を承認する。

エドワーズ大佐とハーパー警部補はトレント家を訪れ、トレントから円盤目撃の話を聞く。警官のケルトンは円盤から出て来たゾンビの老人に遭遇する。ゾンビの老人はケルトンをトレント家まで追いかける。エロスは老人に分解光線を照射して老人を白骨化させる。

エドワーズ大佐、ハーパー警部補、トレントはケルトンとポーラを車で待機させ、墓地に入って円盤を探す。

エロスはクレイにケルトンとポーラを襲わせる。クレイはケルトンを殴り倒す。

エドワーズ、ハーパー、トレントは円盤を発見する。エロスとタンナはハッチを開けて3人を円盤の中に入れる。

エロスは3人にクレイがポーラを腕に抱えて連れ去る映像を見せる。エロスは人類の兵器開発が太陽光分子を爆発させる物質である「ソラロナイト」の発見につながり、宇宙全体を滅ぼす危険があることを説く。

警官のケルトンとラリーは円盤の近くでポーラを運んでいるクレイを発見する。銃ではゾンビを殺せないため、彼らは木の警棒でクレイを殴り倒してポーラを救出する。

トレントは円盤の中でエロスに飛びかかり、取っ組み合いの喧嘩になる。2人の格闘によって円盤の機械装置が損傷し、発火する。3人の地球人は円盤から脱出する。タンナは円盤を離陸させる。円盤は炎に包まれ、上空で爆発する。ゾンビたちは白骨化する。

『プラン9・フロム・アウタースペース』は、しばしば「so bad it’s good(酷すぎて逆に良い)」と形容される極端な質の悪さによって、「史上最低の映画」として知られる低予算のカルト映画である。

本作は南部のバプテスト教会から出資を受けて1956年に撮影され、1957年にロサンゼルスのカールトン劇場で「Grave Robbers from Outer Space(外宇宙から来た墓荒らし)」というタイトルで試写が行われた。その後、「Plan 9 from Outer Space(外宇宙からの第9計画)」と改題され、1959年にテキサス州とその他の南部の諸州で2本立ての1本として一般公開された。

本作は1961年から1980年にかけて全米で深夜にTVで何度も放映され、注目を集めるようになった。

1978年に出版された『The Fifty Worst Films of All Time(史上最低の映画50)』という本の中で、著者である映画評論家のマイケル・メドベジとその兄弟のハリー、ランディ・ドレイファスの3人は読者に最低映画を決める投票を呼びかけた。メドベジ兄弟の本『The Golden Turkey Awards(ゴールデン・ターキー・アワーズ)』(1980年)で発表された投票結果で『プラン9・フロム・アウタースペース』が1位となり、本作は著者によって「史上最低の映画」として認定された。

『プラン9・フロム・アウタースペース』は、1950年代のSF映画と1930年代・1940年代のゴシックホラー映画の要素の奇妙な混成物である。プロットの大筋はロバート・ワイズ監督のSF映画『地球の静止する日』(1951年)に似ているが、本作に登場するゾンビはトッド・ブラウニング監督、ベラ・ルゴシ主演の『魔人ドラキュラ』(1931年)のようなゴシックホラー映画に登場する吸血鬼に似ている。

ウッドはベラ・ルゴシが亡くなる直前の1956年に、本作とは無関係な企画のためにルゴシが登場する映像を撮影していた。ウッドが本作の制作を開始したのはルゴシの死後だったが、ウッドは本作のクレジットにルゴシの名前を加えるために、本作のごく少数の短い場面にルゴシの映像を組み込み、ルゴシを老人役として出演させた。その他の場面ではウッドの妻のカイロプラクターだったトム・メイスンがマントで顔を隠しながら老人役を演じている。メイスンはルゴシには全然似ていない、ルゴシよりもかなり背が高い男だったため、これらの場面はルゴシの映像とはつじつまが合っていない。

本作は、訳の分からない設定、支離滅裂なプロット、お粗末なセットと小道具、あまりにもチープで失笑するしかない特撮、みすぼらしい衣装、下手な演技、意味不明の台詞、シークエンスとしての連続性を欠いた編集など、あらゆる点で「悪い」映画であるが、決して退屈な映画ではない。映画自体の出来の悪さとばかばかしさで観客を笑わせるという点で、むしろ愛すべき映画である。

ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の1994年のアメリカ映画『エド・ウッド』は、エド・ウッドを題材にした伝記コメディードラマ映画である。この映画ではウッドが『プラン9』の制作に至るまでの経緯が描かれている。

レジェンド・フィルムズ(Legend Films)は2005年に本作の着色版をリリースした。

バカと間抜けのオンパレード!エド・ウッド最高傑作映画『プラン9・フロム・アウタースペース』予告編