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Patty Waters: Patty Waters Sings (1965)

『パティ・ウォーターズ・シングス(Patty Waters Sings)』は、1960年代のESP-Diskレーベルへの前衛的なヴォーカル・ジャズの録音で知られるアメリカ合衆国のジャズ・ヴォーカリスト、パティ・ウォーターズ(Patty Waters)のデビュー・アルバムである。

ウォーターズは1946年にアイオワ州で生まれた。1960年代初頭にニューヨークのクラブでウォーターズの声を聴いたアルバート・アイラー(Albert Ayler)は、ウォーターズを実験的なジャズのレーベル、ESP-Diskのオーナーのバーナード・ストルマンに紹介し、ウォーターズはESP-Diskで『パティ・ウォーターズ・シングス』(1965年)と『カレッジ・ツアー(College Tour)』(1966年)の2作のアルバムを録音した。

ウォーターズはわずかな録音しか残さなかったが、ウォーターズのパフォーマンスはオノ・ヨーコ(Yoko Ono)やディアマンダ・ギャラス(Diamanda Galás)に多大な影響を与えている。

『パティ・ウォーターズ・シングス』は1965年12月19日にニューヨーク市で録音され、1966年にESP-Diskから発売された。

本作は現代音楽のような美しさを持ったダークで前衛的なヴォーカル・ジャズの傑作である。

前半はビリー・ホリデイ(Billie Holiday)の影響が色濃い、スモーキーでささやくようなヴォイスと自身のピアノ伴奏による静謐な7曲の短いバラードで構成されている。

1曲目の「Moon, Don’t Come Up Tonight」はサリー・ウッド(Sally Wood)との共同制作で、ウッドが作曲し、ウォーターズが作詞している。

8曲目の「Black is the Color of My True Love’s Hair(黒は私の真の恋人の髪の色)」(約14分)はトラディショナル・フォークソングのアヴァンギャルドなカヴァー。

その他の6曲はウォーターズのオリジナルである。

「Black is the Color of My True Love’s Hair」はウォーターズの最も有名な録音で、うめき声、ささやき声、叫び声、嘆き声を含むウォーターズのヴォーカル・インプロヴィゼーションとピアノ、ピアノ・ハープ、ベース、パーカッションによって演奏されている。

人間の声による表現の限界に挑戦するかのような実験的な演奏である。アルバート・アイラーのフリー・ジャズからの影響を感じさせる。

この曲ではスティーヴ・ティントワイスがベースを、トム・プライスがパーカッションを、バートン・グリーンがピアノとピアノ・ハープを、それぞれ演奏している。

Patty Waters – Black Is The Colour Of My True Loves Hair