概説
『エクスパンションズ(Expansions)』は、アメリカ合衆国のジャズ/ソウル/ファンクのミュージシャン、キーボード奏者のロニー・リストン・スミス(Lonnie Liston Smith)のアルバムである。
制作の背景
スミスは1960年代後半から1970年代初頭にかけて、アート・ブレイキー(Art Blakey)やローランド・カーク(Rahsaan Roland Kirk)、ファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)などと共演し、1973年にジャズベース奏者のセシル・マクビー(Cecil McBee)を含むメンバーとともに自身のバンド「ロニー・リストン・スミス&ザ・コズミック・エコーズ(Lonnie Liston Smith and the Cosmic Echoes)」を結成。その後、1970年代から1980年代にかけて、クラブ・ミュージックやアシッドジャズ、スムーズジャズの文脈で名曲として評価されたフュージョン/ジャズ・ファンクの楽曲の録音を数多く残している。
解説
『エクスパンションズ』はバンドの3作目のアルバムとして1974年に録音され、1975年にフライング・ダッチマン・レコードから発売された。
本作は、スミスのピアノとフェンダー・ローズ・ピアノを含むエレクトリック・キーボード、セシル・マクビーのダブルベース、スミスの弟のドナルド・スミス(Donald Smith)のフルートとヴォーカル、アフリカン・パーカッションをフィーチュアした、スピリチュアルなフュージョン/ジャズ・ファンクの傑作である。
タイトル曲「エクスパンションズ」はジャズ・ファンクの名曲として最も有名な曲の1つであり、クラブ・クラシックとしても知られている。
「デザート・ナイツ(夜の砂漠)(Desert Nights)」と「ブードゥー・ウーマン(Voodoo Woman)」はスミスのモーダルな即興演奏を含む曲。
「サマー・デイズ(真夏のニューヨーク)(Summer Days)」と「マイ・ラヴ(My Love)」はラテンのリズムを基にしたブラジリアン・ジャズ風の曲。
「ピース(Peace)」はホレス・シルヴァー(Horace Silver)のジャズ・スタンダード曲のカヴァー。
「エクスパンションズ」、「ピース」、「マイ・ラヴ」でドナルド・スミスのテノールのヴォーカルが聴ける。