概説
『ランクィディティー(Lanquidity)』はアメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン、サン・ラー(Sun Ra)とそのビッグバンドのアーケストラ(The Arkestra)による1978年のスタジオ録音アルバムである。
解説
アルバム『ランクィディティー』は1978年7月17日のサタデー・ナイト・ライヴでの演奏後の夜にニューヨーク市のボブ・ブランクのブランク・テープス・スタジオで録音され、同年にフィラデルフィアのレコードレーベル、フィリー・ジャズから銀箔のジャケットのLPとして発売された。
本作はサン・ラーのキーボード(ARPシンセサイザー、フェンダー・ローズ、ハモンドB3オルガン、ミニモーグ、ピアノ)、ジョン・ギルモア(tenor saxophone)、マーシャル・アレン(alto saxophone)、エディ・ゲイル(trumpet)、ギタリスト2人とパーカッション奏者3人をフィーチュアしたサイケデリックなジャズ・フュージョンのアルバムである。
本作はサン・ラーが1970年代に録音したアルバムの中でも最も印象的な作品の一つである。
サン・ラーの過去の録音とは異なり、本作はファンク、R&B、ジャズ・フュージョンの要素を全面的に導入しており、アーケストラではほとんど使われていなかったギターを2本フィーチュアしている。
本アルバムはスローなテンポ、緩いグルーヴ、反復リズム、催眠的なビート、瞑想的な効果が特徴である。
アルバム・タイトルの『ランクィディティー(Lanquidity)』は「languid(気だるい)」と「liquidity(流動性)」を組み合わせた造語である。
タイトル曲「Lanquidity」は哀愁を帯びたメロディーを含むスペイシーでアンビエントな曲。
中間の3曲、「Where Pathways Meet」、「That’s How I Feel」、「Twin Stars of Thence」はジャズ・フュージョン風のファンキーな曲。
最後の曲「There Are Other Worlds (They Have Not Told You Of)」はサン・ラー本来のスタイルによるスピリチュアルなスペース・ジャズ曲。
全体として、サン・ラーのクールなエレクトリックピアノとシンセ、エディ・ゲイルのトランペット、リチャード・ウィリアムスによるベースラインが印象的である。
エビデンス・ミュージック(Evidence Music)は2000年に本アルバムをHDCDで再発売した。
イギリスのインディペンデント系レーベル、ストラット(Strut)は2021年に本アルバムのリマスター版をデジタルとシングルLPで発売した。ストラットは同年に2CD+4LPの「スペシャル・エディション」も発売している。
クレジット
- Sun Ra: organ, synthesizer, piano, arranger, keyboards, Hammond organ, electric piano, vocals, bells, Arp, Fender Rhodes, orchestra bells, Mini Moog
- John Gilmore: tenor saxophone
- Danny Ray Thompson: flute, baritone saxophone
- Eddie Gale: trumpet
- Michael Ray: trumpet, flugelhorn
- Marshall Allen: flute, oboe, alto saxophone
- Luqman Ali: percussion
- Michael Anderson: percussion
- Artaukatune: drums, tympani
- Disco Kid: ( Slo Johnson ) guitar
- Dale Williams: guitar
- Atakatun Odun: congas
- Elo Omoe: Flute, bass clarinet
- Julian Pressley: baritone saxophone
- Richard Williams: bass
- James Jacson: oboe, basson, flute, voices
- June Tyson: voices
収録曲
全曲の作曲はサン・ラー。
Side One
- Lanquidity – 8:19
- Where Pathways Meet – 6:30
- That’s How I Feel – 8:09
Side Two
- Twin Stars of Thence – 9:30
- There Are Other Worlds (They Have Not Told You Of) – 10:58