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Herbie Hancock: Crossings (1972)

概説

『クロッシングス(Crossings)』は、1940年生まれ、イリノイ州シカゴ出身のアメリカ合衆国のジャズ・ピアニスト・作曲家・編曲家、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の10作目のアルバムである。1972年にワーナー・ブラザース・レコーズから発売された。

解説

1960年代のブルーノート期と『ヘッド・ハンターズ(Head Hunters)』(1973年)以降のポピュラーなファンク期の間の過渡期(いわゆる「エムワンディシ」期)に、初期の電化マイルス(『In A Silent Way』(1969年)と『Bitches Brew』(1970年))の強い影響下でハービー・ハンコック・セクステットが録音した実験的なアルバムの一つである。

ハービー・ハンコック(piano, electric piano, mellotron, percussion)、エディー・ヘンダーソン(trumpet, flugelhorn, percussion)、ベニー・モウピン(soprano saxophone, alto flute, bass clarinet, piccolo, percussion)、ジュリアン・プリースター(tenor and alto trombones, bass, percussion)、バスター・ウィリアムス(bass guitar, double bass, percussion)、ビリー・ハート(drums, percussion)のセクステットに加えて、シンセサイザー演奏の開拓者として知られていたパトリック・グリーソン(Moog synthesizer)が新メンバーとして参加している。

アフリカン・パーカッションとエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)、メロトロン、モーグ・シンセサイザーなどの電子楽器をフィーチュアした、スペイシーでサイケデリックな前衛ジャズ/フュージョンである。

1曲目「Sleeping Giant」はファンクグルーヴを含むフュージョン風の長い曲(24分50秒)で、5部構成となっている。

ベニー・モウピン作曲の後半2曲は現代音楽風のより前衛的な演奏で、深海や宇宙空間を思わせるような独特な雰囲気の音風景が特徴である。

Sleeping Giant