『トラブル(Trouble)』は、イギリスのポップ・グループ、セイラー(Sailor)の2作目のアルバムである。
セイラーは、1973年にノルウェー出身のゲオルグ・カヤナス(12-string guitars, charango, Veracruzana harp and lead vocals)が3人のイギリス人、ソングライター/ミュージシャンのフィル・ピケット(bass Nickelodeon, guitarron, piano and vocals)、キーボード奏者のヘンリー・マーシュ(Nickelodeon, accordion, piano, marimbas and vocals)、ドラマーのグラント・サーペル(drums, percussion and vocals)とともに結成したグループである。
アルバム『トラブル』は1975年にロンドンのCBSスタジオで録音され、同年にエピック・レコードから発売された。本作は全英アルバムチャートで45位を記録した。
本作は一般にセイラーの最高傑作と見なされている優れたポップ・アルバムである。
本作は、カヤナスによるキャッチーなメロディーの楽曲、ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)のような美しいコーラス・ハーモニー、エレクトリック・ギターやエレクトリック・ベースなどのロック楽器を排して12弦ギターやチャランゴ、ギタロン、アコーディオン、マリンバ、シンセサイザー・ベースを用いたユニークな楽器編成、カヤナスが発明した「ニッケルオデオン」と呼ばれるオリジナル楽器(2台のアップライトピアノと2台のシンセサイザー、ミニオルガンとグロッケンシュピールで構成されている)の使用、ヴォードヴィル・ショーのような演劇的な要素、船旅や港町をモチーフにした異国趣味が特徴である。
ゲオルグ・カヤナスが全10曲の作詞作曲を手がけている。
「二人のシャンパン・グラス(A Glass of Champagne)」は1975年にシングルとして発売され、全英チャートで2位を記録した。
「ガールズ、ガールズ、ガールズ(Girls, Girls, Girls)」は1976年にシングルとして発売され、全英チャートで7位を記録した。
「トラブル・イン・ホンコン(Trouble in Hong Kong)」は似非中華風の曲。
「ピープル・イン・ラブ(People in Love)」は美しいバラード。
「パナマ(Panama)」はチャランゴを使用したラテン風の曲。
本アルバムはジェフリー・レッサーがプロデュースし、ルパート・ホルムズがアソシエイト・プロデューサーを務めた。
2008年に7tsレコーズはセイラーの最初の2枚のアルバム、『セイラー(Sailor)』(1974年)と『トラブル』のデジタル・リマスター版をボーナス・トラック1曲を加えて1枚のCDに収録し、『Sailor & Trouble』として発売した。