概説
『カールハインツ・シュトックハウゼン: ツィクルス; ルフラン; コンタクテ(Karlheinz Stockhausen: Zyklus; Refrain; Kontakte)』は、ドイツの作曲家、カールハインツ・シュトックハウゼンが1950年代末から1960年にかけて作曲した3つの作品を収録したアルバムである。

解説
本アルバムはフランスの国営ラジオ放送局、ラジオ・フランスによって1992年12月に録音され、1993年にユニバーサルミュージックフランスのレーベル、アコール(Accord)からCDとして発売された。
演奏者はフロラン・ジョドゥレ(percussion)、ジャン=エフラム・バヴゼ(celesta, percussion)、ジェラール・フレミー(piano, percussion)。
シュトックハウゼンが打楽器と電子音楽の新しい可能性を開拓した実験的な3作品を収録している。
「ツィクルス」と「ルフラン」は革新的な記譜法と偶然性の要素を、「コンタクテ」は電子音楽と生演奏の統合を、それぞれ特徴としている。
ツィクルス(1959年)
「打楽器奏者のためのツィクルス」は1959年にヴォルフガング・シュタイネッケの依頼でダルムシュタット夏季現代音楽講習会の打楽器コンクールの課題曲として作曲され、1959年8月25日にクリストフ・カスケルによって初演された。
ヴィブラフォン、マリンバ、スネアドラム、トムトムを含む30種類以上の楽器を演奏する1人の打楽器奏者のために作曲された作品である。
楽譜は一方向には進まない「環状」(ツィクルス=サイクル)の構造を持ち、演奏者はどこから演奏を始めてもよい。
拍子やリズムが固定されておらず、演奏の順序が毎回異なるため、偶然性の要素を含んでいる。
ルフラン(1959年)
「三人の楽器奏者のためのルフラン」は1959年の6月から7月にかけてゲルハルト・フォン・ヴェスターマンの委嘱によりベルリン芸術祭のために作曲され、1959年10月2日にベルリン・コングレスホールにてデイヴィッド・チュードア(piano)、コーネリアス・カーデュー(celesta)、ケルンWDR交響楽団の打楽器奏者のジークフリート・ロックストロー(vibraphone)によって初演された。
「ルフラン」は3人の奏者(ピアノとウッド・ブロック、ビブラフォンとカウベル、チェレスタとアンティーク・シンバル)のために作曲された室内楽曲である。
穏やかな音のテクスチャーが短いリフレインによって6回乱される。楽譜は回転可能な透明板を含んでおり、透明板は湾曲した五線譜に重ねられている。リフレインは透明板に記譜されている。このリフレインが位置を移動することによって演奏者に予測不可能な形で割り込み、異なる音色やリズムのテクスチャーがコラージュとして展開される。
コンタクテ(1960年)
「コンタクテ(接触)」は1958年から1960年にかけてケルンの西ドイツ放送局(WDR)の電子音楽スタジオでゴットフリート・ミヒャエル・ケーニッヒの協力を得て制作された電子音楽作品である。
電子音のみのバージョンと、ピアノ、パーカッション、4チャンネルのテープのためのバージョンの2つがある。本アルバムは後者を収録している。
このバージョンは1960年7月11日にケルンの西ドイツ放送局にてデイヴィッド・チュードア(piano, percussion)、クリストフ・カスケル(percussion)、カールハインツ・シュトックハウゼン(sound projection)によって初演された。
この作品は電子音と生演奏の楽器音を融合させ、4チャンネルの電子音響を用いて音が空間の中を移動するような効果を生み出している。
収録曲
- Zyklus (1959): For One Percussion – 17:55
- Percussion – Florent Jodelet
- Refrain (1959): For Three Instrumentalists – 11:31
- Celesta, Percussion – Jean-Efflam Bavouzet
- Percussion – Florent Jodelet
- Piano, Percussion – Gérard Frémy
- Kontakte (1960): For Piano, Percussion And Magnetic Tape – 34:47
- Percussion – Florent Jodelet
- Piano, Percussion – Gérard Frémy