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モーツァルト: ホルン協奏曲集(Baumann, 1973)

概説

『ホルン協奏曲集(Die 4 Hornkonzerte / 4 Horn Concertos)』は、ザルツブルク出身の18世紀の音楽家でウィーン古典派の作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがホルン独奏と管弦楽のために作曲したホルン協奏曲4曲を収録したアルバムである。

解説

本アルバムは、オリジナル楽器であるバルブのないナチュラル・ホルンによるモーツァルトのホルン協奏曲4曲の最初の全曲録音である。

本アルバムは、ドイツのホルン奏者のヘルマン・バウマン(ナチュラル・ホルン)、オーストリアの指揮者のニコラウス・アーノンクール(指揮)、ウィーンを拠点とするオーストリアの古楽器アンサンブル、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによって1973年に録音され、1974年にテレフンケン(Telefunken、現在のテルデック(Teldec))からLPとして発売された。

4つのホルン協奏曲は、一般的には1780年代から1790年代初頭にかけて、モーツァルトが年長の友人でホルン演奏の名手だったヨーゼフ・ロイトゲープ(ライトゲープ)のために、第2番・第4番・第3番・第1番の順で作曲したと考えられている。

第1番の第2楽章(ロンド)はモーツァルトの死去により未完となったが、モーツァルトの死後に弟子のフランツ・クサーヴァー・ジュースマイヤーが補筆し完成させた。

いずれの曲もモーツァルト特有の軽快さと憂いを含んだ旋律美が印象的だが、ホルン協奏曲第3番変ホ長調K. 447(1787–89年頃)が旋律の美しさと音楽的な深みにおいて際立っており、最高傑作と目される。この曲はオーボエの代わりにクラリネットを用いているのが特徴である。

いずれの曲も「狩りのロンド」と呼ばれる8分の6拍子のリズムのロンド楽章を含んでいる。

モーツァルトの4つのホルン協奏曲は多くの演奏家たちによって録音されており、現代楽器による録音の中ではデニス・ブレイン(ホルン)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)、フィルハーモニア管弦楽団による1954年の録音が名高い。古楽器による録音の中では本アルバムが歴史的な録音として高く評価されている。

バウマンによるハンド・ストッピング奏法のナチュラル・ホルンの妙技が聴きどころ。

Mozart K.447 Horn Concerto #3 in E-flat 1st mov. Allegro