オーストリアの後期ロマン派の作曲家、グスタフ・マーラーの交響曲第9番ニ長調。
1908年から1909年にかけて作曲された。交響曲第10番が未完成のままマーラーが死去したため、本作が完成された交響曲としては最後の作品となった。『大地の歌』(1908年)を交響曲に含めるとすると、本作が第10番目の交響曲ということになる。
交響曲第9番は、しばしばマーラーの最高傑作と見なされる作品である。自作や他の作曲家の作品(ベートーヴェン、ヨハン・シュトラウス2世、レハール、ブルックナーなど)からのコラージュ的な引用の多用が特徴の長大な曲(約80-90分)である。
4楽章で構成され、第1楽章は無調的・多声的で後の新ウィーン楽派のような作風、第2・3楽章はシニカルで諧謔的、第4楽章は後期ロマン派の作風による、非常にゆったりとしたテンポのアダージョとなっている。
クラウディオ・アバド指揮による2回目の録音はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏で、ライヴ録音だが非常に緻密な演奏。録音も優秀。1999年に録音され、2002年にドイツ・グラモフォンから発売された。