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アングスト/不安(1983年)

概説

『アングスト/不安(Angst)』は、仮釈放中に一家3人を殺害した大量殺人犯、ヴェルナー・クニーシェックの実話を基にした1983年のオーストリアの犯罪スリラー/ホラー映画である。

監督はゲラルト・カーグル。『U・ボート』(1982年)のチーフ・メカニックのヨハン役で知られるエルヴィン・レダーが殺人犯のKを演じた。87分。

Angst (1983)
Angst (1983)

解説

1973年、ヴェルナー・クニーシェックは73歳の女性を銃撃した罪で懲役8年半の刑を宣告された。1980年1月、クニーシェックは釈放の数週間前に職探しのためにガルシュテン刑務所から3日間仮釈放されたが、その間にザンクト・ペルテンのアルトレイター家の邸宅に侵入し、車椅子に乗っている26歳のヴァルター、55歳の母ゲルトルート、24歳の妹イングリットの3人を拷問し殺害した。

本作はこのザンクト・ペルテンの殺人事件の大筋を基にしており、サディズム的な殺人衝動に突き動かされた犯人の内面に焦点を当てている。

ズビグニュー・リプチンスキーによる異様なカメラワークが特徴で、不自然に揺れを抑えた主観ショット、極端な接写、超俯瞰ショットなどを含んでいる。

クラウス・シュルツェによるベルリン・スクール・スタイルのダークな電子音楽がサウンドトラックとして使用されており、映画はサウンドトラックに合わせて編集されている。

極端な暴力描写のため、オーストリアでは公開後1週間で上映打切りとなり、その後ヨーロッパ全域で上映禁止となった。

長い間ほとんど観られることがなかった映画だが、2012年にフランスでBlu-rayが発売され、アメリカでは2015年にBlu-ray、DVD、デジタル配信で発売された。

日本では1988年に『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』というタイトルでレンタル用VHSが発売され、2020年に『アングスト/不安』というタイトルで劇場公開、2021年にBlu-rayとDVDが発売された。

映画『アングスト/不安』予告編