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Buffalo Springfield: Buffalo Springfield Again (1967)

概説

『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン(Buffalo Springfield Again)』は、1966年から1968年にかけてロサンゼルスを拠点に活動していたロックバンド、バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)の2作目のスタジオ録音アルバムである。

バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)について

バッファロー・スプリングフィールドは1966年にカリフォルニア州ロサンゼルスで3人のカナダのミュージシャン、ニール・ヤング(vocals, guitars)、ブルース・パーマー(bass guitar)、デューイ・マーティン(vocals, drums)と2人のアメリカ合衆国のミュージシャン、スティーヴン・スティルス(vocals, guitars, keyboards)とリッチー・フューレイ(vocals, rhythm guitar)によって結成された。

1966年にアトランティック・レコードと契約し、デビューシングル「クランシーは歌わない(Nowadays Clancy Can’t Even Sing)」をリリース。1966年のサンセット・ストリップ暴動(ヒッピー暴動)に触発されてスティルスが書いたシングル曲「フォー・ホワット・イッツ・ワース(For What It’s Worth (Stop, Hey What’s That Sound)」が1967年にビルボードホット100で7位となり、同曲はプロテスト・ソング、反戦運動の賛歌として有名になった。

活動期間はわずか2年ほどで、大きな商業的成功を収めることはなかったが、フォークロックとカントリーロック、サイケデリック・ロックの要素を組み合わせた彼らの音楽は、1960年代後半から1970年代のカリフォルニア・サウンド、特にイーグルス(Eagles)などのカントリーロックに多大な影響を与えた。

1968年のバンド解散後、スティルスはバーズ(The Byrds)のデイヴィッド・クロスビー、ホリーズ(The Hollies)のグラハム・ナッシュとともにフォークロックのスーパーグループ、クロスビー、スティルス&ナッシュ(Crosby, Stills & Nash: CSN)を結成。1969年にヤングがグループに参加し、グループ名はクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash & Young: CSNY)となった。

フューレイは1968年に後期バッファロー・スプリングフィールドのメンバーだったジム・メッシーナとともにカントリー・ロックバンドのポコ(Poco)を結成した。

解説

アルバム『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』は1967年に録音され、同年にアトコ・レコードから発売された。本作はビルボードのポップアルバムチャートで最高位44位を記録した。

本作は彼らの3つのスタジオ録音アルバムの中でも最高傑作として名高いアルバムである。

本作は彼らの他の2つのアルバム、デビューアルバムの『バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)』(1966年)、3作目の『ラスト・タイム・アラウンド(Last Time Around)』(1968年)と比べるとサイケデリック・ロック色が強いアルバムである。

本作はアルバム全体がフォーク、カントリー、サイケデリア、ハードロック、ジャズ、ソウル、南米の民族音楽、クラシック音楽などのさまざまな音楽スタイルのコラージュになっている。

バンドメンバーの流動性(当時ヤングとパーマーはバンドを出たり入ったりしていた)やスティルスとヤングの対立などの問題があったため、本作はバンドのアルバムというよりはスティルス、ヤング、フューレイのソロ作品の寄せ集めに近いが、楽曲とアレンジのクオリティーは極めて高い。

本アルバムはシングル曲、「Bluebird / Mr. Soul」、「Rock & Roll Woman / A Child’s Claim to Fame」、「Expecting to Fly / Everydays」を収録している。

本作は『ローリング・ストーン』誌の歴代最高のアルバム500選のリストの2003年版と2012版で188位にランク付けされた。

本作はロバート・ディメリーの『死ぬ前に聴くべき1001枚のアルバム』にも含まれている。

収録曲

1. ミスター・ソウル / Mr. Soul (Young, 2:48)

リードヴォーカルはヤング。ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の「サティスファクション((I Can’t Get No) Satisfaction)」(1965年)によく似たギターリフを基にしたガレージロック風の曲。

2. ア・チャイルズ・クレイム・トゥ・フェイム / A Child’s Claim to Flame (Furay, 2:09)

リードヴォーカルはフューレイ。ジェームズ・バートンのドブロ(リゾネーター・ギター)をフィーチュアしたカントリーロック風の曲。

3. エヴリデイズ / Everydays (Stills, 2:38)

リードヴォーカルはスティルス。スティルスのピアノ演奏をフィーチュアしたジャズ風の曲。

4. エクスペクティング・トゥ・フライ / Expecting to Fly (Young, 3:39)

リードヴォーカルはヤングとフューレイ。幻想的なサイケデリック・フォーク曲。ジャック・ニッチェがプロデュースと弦楽セクションを含むオーケストラのアレンジを担当した。この曲はハル・アシュビー監督の『帰郷』(1978年)などの映画で使用された。

5. ブルーバード / Bluebird (Stills, 4:28)

リードヴォーカルはスティルスとフューレイ。スティルスのフィンガーピックのアコースティック・ギターとヤングのファズトーンのエレクトリック・ギターのソロを含むフォークロック曲。曲はバンジョーを用いた南米の民族音楽風のパートで終わる。この曲の9分の拡張ジャム・バージョンがコンピレーション・アルバム『バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)』(1973年)に収録されている。

6. ハング・アップサイド・ダウン / Hung Upside Down (Stills, 3:24)

リードヴォーカルはスティルスとフューレイ。スティルスのソウルフルなヴォーカルとオルガン演奏を含んでいる。

7. 悲しみの想い出 / Sad Memory (Furay, 3:00)

リードヴォーカルはフューレイ。ヤングとフューレイのギターとフューレイのヴォーカルのみのフォーク・バラード。

8. グッド・タイム・ボーイ / Good Time Boy (Furay, 2:11)

リードヴォーカルはマーティン。ホーンセクションを含むソウル風の曲。

9. ロックン・ロール・ウーマン / Rock & Roll Woman (Stills, 2:44)

リードヴォーカルはスティルス。スティルスのオルガンとピアノの演奏と美しいコーラスを含むフォークロック曲。

10. 折れた矢 / Broken Arrow (Young, 6:11)

リードヴォーカルはヤングとフューレイ。3部で構成される組曲風の実験的でシュールな曲。観衆の歓声と「ミスター・ソウル」のオープニングで始まり、ティン・パン・アレーのノヴェルティソング「私を野球に連れてって(Take Me Out to the Ball Game)」(1908年)のカリオペ(蒸気や圧縮空気で鳴らすパイプ・オルガン)・バージョンを含むフォークロックのパートが続き、クラリネットとピアノを含むジャズ・コンボの即興演奏で終わる。

Bluebird