言語切替

The Damned: Machine Gun Etiquette (1979)

概説

『マシンガン・エチケット(Machine Gun Etiquette)』はイングランドのパンクロック・バンド、ダムド(The Damned)の3作目のスタジオ録音アルバムである。

制作の背景

ダムドは1976年にロンドンでリード・ヴォーカリストのデイヴ・ヴァニアン、ギタリストのブライアン・ジェイムス、ベーシスト(後のギタリスト)のキャプテン・センシブル、ドラマーのラット・スケイビーズによって結成された。

ダムドはスティッフ・レコードと契約後、1976年にファースト・シングル「ニュー・ローズ(New Rose)」をリリースした。

ニック・ロウ(Nick Lowe)がプロデュースしたデビューアルバム『ダムド ダムド ダムド(Damned Damned Damned)』(邦題: 地獄に堕ちた野郎ども)が1977年にリリースされた。このアルバムはイギリスのパンク・バンドによる最初のスタジオ録音アルバムだった。このアルバムは全英アルバムチャートで最高位34位を記録した。

ピンク・フロイド(Pink Floyd)のニック・メイスン(Nick Mason)がプロデュースした2作目のスタジオ録音アルバム『ミュージック・フォー・プレジャー(Music for Pleasure)』が1977年にリリースされたが、このアルバムはイギリスではチャートインしなかった。

ダムドは1978年に一度解散したが、センシブル、スケイビーズ、ヴァニアンは活動を再開した。メンバーの入れ替わりを経て、オーストラリアのロックバンド、セインツ(The Saints)のベーシストだったアルジー・ワードとともにバンドを再結成し、1979年にチジック・レコードと契約した。

再結成後はブライアン・ジェイムスに代わってセンシブルがリード・ギタリストおよびメインのソングライターとなった。

解説

アルバム『マシンガン・エチケット』は1979年にロンドンで録音され、同年にチジック・レコードから発売された。本作は全英アルバムチャートで最高位31位を記録した。

『マシンガン・エチケット』はポップ志向のパンクロック・アルバムである。1960年代のガレージ・ロックから強い影響を受けているのが特徴である。一部の曲でファルフィッサ(Farfisa)のオルガンが使われている。

ハードロックやヘヴィメタル、サイケデリック・ロックからの影響を示している楽曲もある。

疾走感のある高速パンクの楽曲も本作の特徴である。本作を1980年代のハードコア・パンクに影響を与えた「プロト・ハードコア」のアルバムとして捉えることもできる。

最初の曲「ラヴ・ソング(Love Song)」とタイトル曲「マシンガン・エチケット」は典型的な「プロト・ハードコア」の曲である。

「ラヴ・ソング」は1979年にシングルとしてリリースされ、全英チャートで最高位20位を記録した。

「アイ・ジャスト・キャント・ビー・ハッピー・トゥデイ(I Just Can’t Be Happy Today)」(邦題: 荒廃の街角)は1979年にシングルとしてリリースされ、全英チャートで最高位46位を記録した。

「メロディ・リー(Melody Lee)」の歌詞は、DCトムソン社から刊行されていたイギリスの少女向けコミック『バンティ(Bunty)』から着想を得てセンシブルが書いた。曲名は『バンティ』の登場人物の名前である。

「プラン9 チャンネル7(Plan 9 Channel 7)」の曲名はエド・ウッド監督の映画『プラン9・フロム・アウタースペース』(1957年)に由来している。この曲は『プラン9・フロム・アウタースペース』に出演した女優のメイラ・ヌルミ(Maila Nurmi)とジェームズ・ディーン(James Dean)の交友関係について歌っている。

「ルッキング・アット・ユー(Looking at You)」はアメリカ合衆国のロックバンド、MC5のアルバム『バック・イン・ザ・USA(Back in the USA)』(1970年)の収録曲のカヴァーである。

「スマッシュ・イット・アップ(Smash It Up)」はメロディックな器楽のパートとポップ・パンク曲のパートの2部構成の曲である。この曲は1979年にシングルとしてリリースされ、全英チャートで最高位35位を記録した。

「スマッシュ・イット・アップ」の最後で繰り返される声「Nibbled to death by an okapi(オカピにかじられて死ぬ)」は、ダグラス・アダムス作のBBCのラジオ番組『銀河ヒッチハイク・ガイド(The Hitchhiker’s Guide to the Galaxy)』(1978年)でピーター・ジョーンズが喋っている台詞である。

本アルバムは1986年と2004年にCDで再発売された。

ビッグ・ビート・レコードから発売された1986年のCDはボーナス・トラック4曲を収録している。

チジック・レコードから発売された2004年のエンハンスドCD(25thアニバーサリー版)はボーナス・トラック9曲と「プラン9 チャンネル7」のヴィデオ・クリップを収録している。

参加ミュージシャン

ダムド(The Damned)

  • Dave Vanian – lead vocals
  • Captain Sensible – guitars, backing vocals, keyboards, bass (“I Just Can’t Be Happy Today”, “Smash It Up (Parts 1 & 2)”), bass solo (“Anti-Pope”)
  • Rat Scabies – drums, backing vocals
  • Algy Ward – bass, backing vocals, guitar (“Machine Gun Etiquette”, “Liar”)

収録曲

  1. “Love Song” – 2:21
  2. “Machine Gun Etiquette” – 1:48
  3. “I Just Can’t Be Happy Today” – 3:42
  4. “Melody Lee” – 2:07
  5. “Anti-Pope” – 3:21
  6. “These Hands” – 2:03
  7. “Plan 9 Channel 7″ – 5:08
  8. “Noise, Noise, Noise” – 3:10
  9. “Looking at You” – 5:08
  10. “Liar” – 2:44
  11. “Smash It Up (Part 1)” – 1:59
  12. “Smash It Up (Part 2)” – 2:53