概説
『ブラームス: 間奏曲集』(Brahms: 10 Intermezzi for Piano)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの鍵盤作品の独自の解釈で知られる20世紀のカナダのクラシック音楽のピアニスト、グレン・グールドが1960年に録音したアルバムである。
ブラームスが晩年に作曲したピアノ小品から選曲した間奏曲10曲を収録している。
解説
本アルバムは1960年の9月と11月に当時28歳だったグールドがニューヨークのコロムビア30番街スタジオで録音し、1961年にコロムビア・マスターワークスから発売された。
プロデュースはリチャード・キロウ。
グールドは本アルバムで、19世紀のロマン派中期のドイツの作曲家・ピアニスト、ヨハネス・ブラームスが晩年に作曲したピアノ独奏のための楽曲から間奏曲10曲を選出し、演奏している。
グールドは『8つのピアノ小品』作品76(1878年)から2曲、『7つの幻想曲』作品116(1892年)から1曲、『3つの間奏曲』作品117(1892年)から3曲、『ピアノのための6つの小品』作品118(1893年)から3曲、『ピアノのための4つの小品』作品119(1893年)から1曲をそれぞれ選出している。
本作はグールドがロマン派の作曲家の楽曲を録音した最初のアルバムである。
本作はグールドが録音した数多くのアルバムの中でも最も評価が高いものの一つであり、ブラームスのピアノ小品の録音の中でも傑作として名高いアルバムである。
グールドは本アルバムで、ブラームスの間奏曲を楽譜上の反復やスタッカートの記号を無視して独自に解釈している。楽譜に忠実ではないが、ゆったりとしたテンポ、モノローグのような内省、繊細なロマンティシズムと深い情趣、瞑想的な効果を特徴とする極めて美しい演奏である。
グールド自身は「グレン・グールド・エディション」(ソニー・クラシカル)のライナーノーツでこの録音を以下のように評している。
「これは今までで最もセクシーなブラームスの間奏曲の解釈だ。」
「私はこれまでのブラームスの録音では決して表現されなかった即興演奏の雰囲気を捉えたと思う。」
ソニー・クラシカルは2014年に本アルバムにボーナス・トラック1曲(作品118の第2番の1959年の録音)を追加してSACDハイブリッドとして再発売した。
収録曲
- 間奏曲変ホ長調 作品117-1(05:38)
- 間奏曲変ロ短調 作品117-2(05:31)
- 間奏曲嬰ハ短調 作品117-3(05:24)
- 間奏曲変ホ短調 作品118-6(06:03)
- 間奏曲ホ長調 作品116-4(04:22)
- 間奏曲イ短調 作品76-7(04:01)
- 間奏曲イ長調 作品76-6(02:15)
- 間奏曲ロ短調 作品119-1(02:26)
- 間奏曲イ短調 作品118-1(01:05)
- 間奏曲イ長調 作品118-2(05:50)