概説
『ペルソナ3』(以下『P3』と表記)は、アトラスが『ペルソナ』シリーズの第3作目として制作し、2006年にPlayStation 2向けゲームソフトとして発売したRPGである。

2006年に日本と韓国で、2007年に北米で、2008年に欧州とオーストラリアで、それぞれ発売された。
主人公は高校生で、「影時間」と呼ばれる特別な時間帯にのみ出現する敵「シャドウ」と戦う「特別課外活動部(S.E.E.S. / Special Extracurricular Execute Sector)」に所属している。
本作は学校生活を中心とした日常パートと、影時間のランダム生成ダンジョン(タルタロス)探索を組み合わせた構造を採用している。
主な特徴として、ゲーム内で日付が進行するカレンダーシステムのもとで12か月間の学生生活を体験する日常パートと、恋愛要素を含むソーシャル・シミュレーション的な「コミュニティ」システムの導入が挙げられる。
ポップなビジュアルや英語ボーカル曲を含むBGMの導入により、ゲームのスタイルは従来のシリーズから大きな変革を遂げた。
ビジュアル面ではブルーを基調としたクールなカラーデザインとスタイリッシュなUIが特徴である。
フューチャー・ポップをベースにR&Bやヒップホップ、ロックなどを融合させ、ラップや女声ボーカルを取り入れた本作の音楽は、従来のゲーム音楽の枠を超えた画期的なものだった。
「死」をテーマにした重厚なシナリオや、銃型の召喚器を用いる独特なバトル演出などのダークな世界観も本作の魅力である。
ストーリー展開、キャラクター設定、ビジュアル表現においてTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995–1996年)からの影響が指摘されることがある。
公式PV
メインスタッフ
プロデューサー・ディレクターは橋野桂、キャラクターデザイン、アートディレクションは副島成記、音楽は目黒将司が担当した。
戦闘システム
戦闘はコマンド選択式のターン制バトルである。
S.E.E.S.のメンバーがシンボルエンカウントによってシャドウと接触すると戦闘に突入する。
メンバーは武器の使用または別人格の「ペルソナ」の召喚によるスキルの発動によって戦闘を行う。
戦闘は『真・女神転生III-NOCTURNE』(2003年)で導入されたプレスターンバトルを基に改良した「ワンモア」システムを採用しており、弱点攻撃による追加ターンと全員攻撃(総攻撃)を特徴とする。
ストーリー
物語の舞台は人工島「辰巳(たつみ)ポートアイランド」にある私立学校、月光館学園。
主人公は転入初日に「影時間」という通常の時間とは異なる隠された時間帯と、そこにのみ出現する怪物「シャドウ」の存在を知る。
シャドウは人間の負の感情から生まれる存在であり、これを討伐するため、ペルソナと呼ばれる力を発現させた者たちが特別課外活動部(S.E.E.S.)を結成する。
深夜0時から始まる「影時間」の間、月光館学園は巨大な塔「タルタロス」へと姿を変える。
12か月間の学校生活を通じて、主人公は仲間たちと絆を深めながら巨大なランダム生成ダンジョン、タルタロスの最上階を目指す。
物語の根底には「死」を巡るテーマが一貫して流れ、主人公が持つ特別な力と、事件の背後に潜む大きな陰謀が徐々に明らかになっていく。
生と死というテーマ
本作は、死に向き合うことで見いだされる生の尊さを中心的なテーマとしている。このテーマと関連して、作中では「死を想え(汝は死すべき存在であることを忘れるな)」を意味するラテン語の成句「メメント・モリ(Memento Mori)」が引用されている。
主な登場人物

主人公
名前はプレイヤーが自由に設定可能。春から月光館学園高等部に転入する高校二年生。突然ペルソナ能力に目覚め、S.E.E.S.に加入する。複数のペルソナを所持できる特殊能力を持つ。
岳羽 ゆかり(たけば ゆかり)
主人公のクラスメイト。明るい性格の勝ち気な少女。弓道部に所属し、戦闘では弓を駆使する。疾風属性のスキルと回復スキルを使用する。
伊織 順平(いおり じゅんぺい)
主人公のクラスメイト。お調子者でムードメーカー的な存在。戦闘では大剣を使用し、物理攻撃スキルや火炎属性スキルに特化している。
真田 明彦(さなだ あきひこ)
月光館学園高等部三年生で、S.E.E.S.の創設メンバー。ボクシング部の主将。戦闘では拳を振るって戦う。物理攻撃や電撃属性のスキルを得意とする。
桐条 美鶴(きりじょう みつる)
世界有数の大企業「桐条グループ」の社長令嬢。月光館学園高等部の三年生で、生徒会長を務める。S.E.E.S.の部長。フェンシング部の部長も兼任しており、戦闘では片手剣を使用する。氷結スキルを得意とする。
山岸 風花(やまぎし ふうか)
月光館学園高等部の二年生。穏やかで控えめな性格。情報収集や分析を得意とし、直接前線には出ず、ナビゲーションとサポートスキルで主人公たちを支える。
コロマル
ペルソナ能力を覚醒した柴犬。戦闘では口に咥えた短剣で攻撃を行う。闇属性のスキルを得意とする。
アイギス
シャドウ制圧のために作られた少女型兵器。S.E.E.S.に加入し、仲間たちと共に過ごすことで次第に人間らしい感情に目覚めていく。戦闘時は内蔵された銃器を使用する。物理攻撃系スキルを得意とする。
天田 乾(あまだ けん)
月光館学園初等科五年生。S.E.E.S.唯一の小学生メンバー。戦闘では長槍を使用する。光属性のスキルを得意とする。
荒垣 真次郎(あらがき しんじろう)
美鶴、真田と同じくS.E.E.S.の創設メンバー。戦闘では斧などの鈍器を使用する。強力な物理攻撃スキルを使いこなす。
『ペルソナ』シリーズにおける『P3』の革新性
『ペルソナ』シリーズは『真・女神転生』シリーズの派生作品として開始されたが、『P3』で大幅な革新を遂げた。従来の悪魔交渉中心のゲームプレイから、高校生の日常シミュレーションとダンジョン探索を組み合わせた構成へと移行し、この構成は以後のシリーズの基本となった。
日常パートでは、主人公が他のキャラクターと交流し絆を深めるソーシャル・シミュレーションの要素が導入された。この要素は『P3』以降のシリーズの大きな魅力の一つとなっている。
また、『真・女神転生III-NOCTURNE』のプレスターンバトルを基にした「ワンモア」システムの導入により、戦闘の戦略性が高まった。
さらに、『真・女神転生III-NOCTURNE』で確立された悪魔の合体とスキル継承のシステムがペルソナのシステムに導入されたことで、ペルソナ育成の面白さも増した。
これらの革新によって、本作は『ペルソナ』シリーズを世界的な人気タイトルへと成長させる決定的な転換点となった。
派生作品
主な派生作品は以下の通り。
ペルソナ3 フェス(2007年)
以下『P3F』と表記。追加要素を含む拡張版。
2007年に日本で、2008年に北米と欧州でPlayStation 2向けゲームソフトとして発売された。
追加シナリオ「Episode Aegis」(エピソードアイギス)はアイギスを主人公として本編の後日談を描いた作品で、ランダム生成ダンジョン探索が中心になっている。

ペルソナ3 ポータブル(2009年)
以下『P3P』と表記。PlayStation Portable版。新要素を含んでおり、女性主人公が選択可能。
2009年に日本で、2010年に北米で、2011年に欧州で発売された。

2023年にリマスター版がXbox Series X/S、Xbox One、PlayStation 4、PC(Windows / Steam)、Nintendo Switch向けのマルチプラットフォームソフトとして世界同時発売された。
ペルソナ3 リロード(2024年)
2024年に、オリジナル版を基にしたフルリメイク版『ペルソナ3 リロード』(以下『P3R』と表記)がPlayStation 5 / PlayStation 4、Xbox Series / Xbox One、PC(Windows / Steam)向けのマルチプラットフォームソフトとして世界同時発売され、2025年にNintendo Switch 2版も発売された。

『P3R』は完全にグラフィックを刷新し、Unreal Engineを活用した現代的なビジュアルを実現した。
映像は4K・60fpsに対応し、キャラクターの2Dイラスト、3Dモデル、背景、UIなど、すべてが美麗に刷新され、アニメパートも完全新規で制作された。

オリジナル版ではキャラクターは約4頭身で描かれていたが、『P3R』ではリアルな高頭身となった。
音楽はオリジナルの既存曲のフルリメイク(再録音)であり、多数の新曲を含んでいる。
ゲーム内の設定で日本語と英語の音声を切り替えることができる。
ゲーム内のテキストの言語はゲーム外の設定に依存しており、以下の13言語(※)が利用可能である。
※日本語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語(スペイン)、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、ポーランド語、トルコ語
その他にも以下のような改良点があり、操作性と遊びやすさが向上した。
- UIの洗練化
- 主要なイベントのフルボイス化
- 新録ボイス
- キャラクター固有の強力技「テウルギア」の追加
- 戦闘中のシフト(バトンタッチ)の導入
- 戦闘時に全キャラクターを操作可能
- 一部のキャラクターとの「リンクエピソード」の追加
- キャラクターの「体調」の撤廃
『P3F』の追加シナリオ「Episode Aegis」は『ペルソナ3 リロード: Episode Aegis』としてリメイクされ、有料DLCとして配信された。
サウンドトラック
以下の5つのサウンドトラックが発売されている。『P3』『P3F』『P3P』のサウンドトラックは2021年に、『P3R』『P3R: Episode Aegis』のサウンドトラックは2024年に各種音楽配信サービスで配信開始された。
『P3R』のサウンドトラックはPlayStation Game Music大賞2024の「Spotifyストリーミングカテゴリー」で第1位を受賞した。
- ペルソナ3 オリジナル・サウンドトラック(2006年)
- ペルソナ3 フェス オリジナル・サウンドトラック(2007年)
- ペルソナ3 ポータブル オリジナル・サウンドトラック(2009年)
- ペルソナ3 リロード オリジナル・サウンドトラック(2024年)
- ペルソナ3 リロード: Episode Aegis オリジナル・サウンドトラック(2024年)
『P3R』の楽曲「It’s Going Down Now」(2024年)
「It’s Going Down Now」は『P3R』のゲーム内で先制攻撃(チャンスエンカウント)時に流れる戦闘曲である。作曲はアトラスサウンドチームの喜多條敦志が担当し、ボーカルを高橋あず美、ラップをLotus Juiceが務めている。
この曲は2024年に「Billboard Global Japan Songs excl. Japan(ビルボード・グローバル・ジャパン・ソングス・エクスクルーディング・ジャパン)」チャートで1位を獲得し、2025年末までのSpotifyでの再生回数が1億回を超えるなど、世界的なヒットとなった。
メディアミックス展開
『P3』の人気を受けて幅広いメディアミックスが展開された。中心となるのはアニメ映画シリーズ『PERSONA3 THE MOVIE』(2013年~2016年、全4章)で、ゲーム本編を丁寧に映像化した作品群である。
また、2008年には本編から10年後を描いたスピンオフTVアニメ『ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜』(全26話)が放送されたほか、公式小説版も複数刊行され、物語の異なる側面や深みを補完している。
その他、漫画版、ドラマCD、舞台版なども制作され、ゲームの世界観を多角的に広げた。
世界市場における販売
オリジナル版『P3』とその派生作品は日本国内で数十万本規模の販売にとどまっていたが、『P3R』は発売1週間で世界市場での売り上げ本数が100万本を突破し、アトラス史上最速のセールスを記録した。
『P3R』の全世界累計販売本数は200万本を突破している(2025年8月時点)。
受賞
オリジナル版『P3』は発売当時、ファミ通ゲームアワード2006において優秀賞(RPG部門)を受賞した。
『P3R』は2024年度の日本ゲーム大賞の年間作品部門「優秀賞」とPlayStation Partner Awards 2024のPartner Awardを受賞した。
公式サイト
- ペルソナ3: https://persona3.jp/
- ペルソナ3 フェス: https://www.atlus.co.jp/title-archive/p3/
- ペルソナ3 ポータブル(リマスター版): https://p-ch.jp/remaster/p3p/sp/
- ペルソナ3 リロード: https://p3re.jp/
あらすじ(ネタバレあり)
Episode Yourself
プロローグ(2009年4月上旬)
10年ぶりに東京都巌戸台へ戻ってきた主人公は月光館学園高等部に転入する。
影時間に学生寮(巌戸台分寮)に到着した主人公は、そこで謎の少年ファルロスと契約を交わす。
学生寮でシャドウに襲われた主人公はペルソナ(オルフェウス)を覚醒させる。主人公は学園理事長の幾月修司(いくつきしゅうじ)の勧誘を受けて、美鶴が率いるS.E.E.S.に加入する。
影時間の謎を解くため、S.E.E.S.は巨大な塔「タルタロス」の調査を開始する。美鶴がナビ役を担当し、主人公はゆかり、順平とともにタルタロスを探索する。
1学期(4月中旬〜7月中旬)
主人公は満月の夜ごとにモノレールやホテルなどの街中に現れる大型シャドウとの戦いを重ねながら、仲間との絆を深めてゆく。
幾月はS.E.E.S.のメンバーに、「12体の大型シャドウをすべて倒せば影時間とタルタロスは消滅する」という仮説を提示する。
ケガで療養中だった真田が復帰し、S.E.E.S.の戦列に加わる。
S.E.E.S.はタルタロス内に迷い込んだ風花を救出する。風花はS.E.E.S.にナビ役として加入する。
夏休み(7月下旬~8月)
S.E.E.S.のメンバーは桐条グループの別荘がある屋久島に旅行し、そこでアイギスと出会う。アイギスはS.E.E.S.に加入する。
地下の軍事施設跡地での大型シャドウとの戦いを経て、コロマルと天田がS.E.E.S.に加入する。
2学期(9月〜12月24日)
10年前に起きた事故の真相や、シャドウを生み出した原因が徐々に明かされる。
荒垣がS.E.E.S.に加入する。
ペルソナ使いの集団「ストレガ」(タカヤ、ジン、チドリ)が現れ、S.E.E.S.と敵対関係になる。
クラブの地下での大型シャドウとの戦いの後、荒垣はストレガのタカヤの襲撃から天田を守り、命を落とす。
順平はチドリと知り合い、親密な仲になる。
S.E.E.S.は12体の大型シャドウをすべて倒すが影時間は消滅せず、幾月の陰謀が発覚する。
美鶴の父の桐条武治(きりじょうたけはる)は幾月に撃たれて亡くなる。幾月はタルタロスから飛び降りて死ぬ。
謎の少年、望月綾時(もちづきりょうじ)が月光館学園高等部に転入し、主人公たちと親しくなる。
京都への修学旅行の後、順平はタカヤに撃たれて命を落とすが、チドリは自分の命と引き換えに順平を蘇生させて亡くなる。
綾時の正体が、全人類に滅びをもたらす「ニュクス」の到来を告げる宣告者(アプライザー)であることが判明する。
冬休み(12月25日~2010年1月7日)
主人公は12月31日に「綾時を殺して記憶を失くし、滅びを受け入れるか、生かしてニュクスと戦うか」の重大な選択を行う。
3学期(1月8日~3月初旬)
1月31日の夜、S.E.E.S.はタルタロスの最上階で最終ボス「ニュクス・アバター」と対決する。
エピローグ(3月5日)
ニュクスとの戦いの後、S.E.E.S.のメンバーは影時間に関する記憶を失い、日常生活に戻っていた。
3月5日の卒業式の日、「卒業式の日に学校の屋上で再会する」という仲間たちとの約束を憶えていたアイギスは、主人公を連れて屋上へ向かう。
記憶を取り戻した仲間たちが屋上へ駆けつけると、主人公はアイギスの膝枕で静かに目を閉じて眠りに就く。
Episode Aegis
学生寮の閉鎖を明日に控えた2010年3月31日、寮に異変が起こり、午前0時を過ぎても日付が変わらず、S.E.E.S.のメンバーたちは3月31日が繰り返される異空間に閉じ込められてしまう。
そこにアイギスの妹を名乗る謎の少女型機械、メティスが現れ、寮の地下に扉が並ぶ謎の空間「時の狭間」が突如出現する。
異変の原因を探るため、S.E.E.S.のメンバーたちはメティスとともに扉の先へと足を踏み入れ、新たな戦いが始まる。
