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白いリボン(2009年)

概説

『白いリボン(Das weiße Band)』は、第一次世界大戦直前のドイツの村を舞台に、日常に潜む心の闇と暴力をロベール・ブレッソンのような禁欲的でミニマルなスタイルで描いたドイツのドラマ映画である。

監督はミヒャエル・ハネケ。モノクロ。144分。

プロットの概要

1913年から第一次世界大戦の勃発の契機となった1914年のサラエヴォ事件(オーストリア大公フランツ・フェルディナント暗殺)までの頃の北ドイツの小村が舞台。

村で教師をしていた男が当時を回想する。

荘園領主の男爵と牧師、医師が人々を支配しているその村で、奇妙な事件が連続して発生する。医師が針金の罠に引っかかって落馬し、大けがをする。小作人の妻が作業中に転落死する。男爵のキャベツ畑が何者かによって荒らされる。男爵の息子が行方不明になる。

その結果、村の人々は不信と暴力によって引き裂かれてゆく。

解説

ドイツ語原題は『Das weiße Band – Eine deutsche Kindergeschichte』(白いリボン、あるドイツの子供の物語(思い出、おとぎ話))。

当時はナチズムの時代(1933–1945年)を大人として生きた世代が子どもだった時代である。本作は、プロテスタントの倫理に基づく厳格な教育によって育った子どもたちが正義の厳格な遂行として暴力を行使しはじめる様を描いており、ハネケはそれをナチス・ドイツの台頭の予兆として捉えている。

本作は2009年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール、ゴールデングローブ賞外国語映画賞など多数の賞を受賞した。

映画『白いリボン』予告編