概説
『カラ(Kala)』は、ヒップホップ、ダンスホールレゲエ、UKクラブミュージック(ガラージ、グライム)などの要素を混合した音楽で知られる1975年ロンドン生まれのスリランカ・タミル系イギリス人のラッパー・歌手、M.I.A.(エム・アイ・エー、本名マータンギ・”マーヤー”・アルルピラガーサム)の2作目のスタジオ録音アルバムである。
解説
本作は2006–2007年に録音、2007年にイギリスのインディーズレコードレーベルのXL Recordingsから発売され、全米ビルボード200で18位、全英アルバムチャートで39位を記録した。
デビューアルバム『アルラー(Arular)』(2005年)はローランドのMC-505を使用したエレクトロクラッシュ寄りのアルバムだったが、本アルバムは『アルラー』よりも攻撃的で、サンプリングの多用とパワフルなビート、南アジアの音楽からの影響、「ワールド・フュージョン」風の雑多な音楽性が特徴である。
インド、アンゴラ、トリニダード島、リベリア、ジャマイカ、オーストラリアなど世界各地で録音された声や歌、ラップなどの音源を含んでいる。
歌詞は貧困や移民問題などを含む政治的なテーマを扱っている。
楽曲の大半はM.I.A.とイギリスのハウスDJ・プロデューサーのスウィッチ(Switch)が共同で曲作りとプロデュースを行っている。
シングル曲、「Bird Flu」、「Boyz」、「Jimmy」、「Paper Planes」(全英チャート19位)収録。
「Jimmy」は1982年のインド映画『ディスコ・ダンサー』の挿入曲「Jimmy Jimmy Jimmy Aaja」のカヴァー。
「Paper Planes」はザ・クラッシュ(The Clash)の「Straight to Hell」(1982年)を引用している。
「Bird Flu」と「Boyz」ではインドのタミル・ナードゥ州の音楽で使われるドラムが使用されている。
「Bamboo Banga」はザ・モダン・ラヴァーズ(The Modern Lovers)の「Roadrunner」(1976年)を引用している。
「20 Dollar」はピクシーズ(Pixies)の「Where Is My Mind?」とニュー・オーダー(New Order)の「Blue Monday」(1983年)のベースラインを引用している。
本作はオルタナティヴ・ダンスミュージックの傑作として批評的に高い評価を受けている。『ニュー・ミュージカル・エクスプレス(NME)』誌は2013年に「歴代最高のアルバム500(500 Greatest Albums of All Time)」のリストで本作を184位にランク付けした。