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Moondog: The Viking of Sixth Avenue (2004/1949–1995)

概説

『6番街のヴァイキング(The Viking of Sixth Avenue)』は、1940年代後半から1972年にかけてニューヨーク市でストリート・パフォーマーとして活動したことで知られるアメリカ合衆国の作曲家、音楽家、詩人のムーンドッグ(Moondog)(本名: ルイス・トーマス・ハーディン、1916–1999年)のコンピレーション・アルバムである。

解説

本アルバムは1949年から1995年にかけて録音された音源から選出された36曲を収録している。

本アルバムはイギリスのHonest Jon’s Recordsから2004年に2枚組LPとして、2005年にCDとして発売された。

ルイス・ハーディンは1916年にカンザス州のメアリーズビルで生まれた。16歳の時に爆発事故で視力を失い、盲学校に通ったり点字の本を読んだりしながらほぼ独学で音楽の技術と理論を学んだ。

ハーディンは1940年代後半から1972年にかけてニューヨーク市に居住し、街頭演奏をしたり楽譜やレコードを売ったりしながらストリート・パフォーマー、詩人として活動した。

ハーディンは1947年に「ムーンドッグ(Moondog)」というペンネームを使い始めた。

ムーンドッグは当時、キリストとの外見上の類似を避けるためにマントと角付きのヘルメットを身に付けてヴァイキングの扮装をしていたため、通行人や住民たちから「6番街のヴァイキング」として認知されていた。

本アルバムは複数の音楽レーベルを跨いでムーンドッグの音楽活動全体を概観した初のコンピレーションである。1940年代後半と1950年代に録音された初期のシングルやEPを含む多数のレア音源を収録している。

ムーンドッグの音楽は、ジャズ(スウィング、ビバップ)、クラシカル、ネイティヴ・アメリカンの音楽、中南米の音楽(ルンバ)などのさまざまなスタイルを融合させたものである。ネイティヴ・アメリカンの音楽に影響されたパルス的なリズム、J・S・バッハのような対位法、4/4拍子を排した変則的な拍子、自身が発明した楽器の使用、地下鉄や霧笛などの市街地の環境音の導入、などが特徴である。前衛的だがユーモラスで親しみやすい音楽である。

1940年代・1950年代のムーンドッグの音楽はフィリップ・グラス(Philip Glass)やスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)などの初期のミニマル・ミュージックの作曲家たちに多大な影響を与えた。

ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)が在籍していたアメリカ合衆国のロックバンド、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー(Big Brother & the Holding Company)は1967年のセルフタイトルのアルバムで「All Is Loneliness」をカヴァーした。

1969年のアルバム『ムーンドッグ(Moondog)』に収録された「Lament 1 (Bird’s Lament)」はアメリカ合衆国のジャズ・サックス奏者、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の追悼のために書かれたシャコンヌである。この曲はイギリスのレコード・プロデューサー・DJのミスター・スクラフ(Mr. Scruff)の「Get a Move On」(1999年)などの楽曲でサンプリングされている。

moondog – the viking of the sixth avenue ( album complet )