概説
『ラストタンゴ・イン・パリ(Last Tango in Paris)』は、ベルナルド・ベルトルッチが監督し、マーロン・ブランドとマリア・シュナイダーが主演した1972年の同名の映画のサウンドトラック・アルバムである。
映画の音楽は、主に1960年代のフリー・ジャズの録音と1970年代のラテンジャズの録音で知られるアルゼンチン出身の作曲家・テナー・サックス奏者のガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)が作曲し、オーケストラのアレンジと指揮はアメリカ合衆国のジャズ・サックス奏者・クラリネット奏者・編曲家・作曲家のオリヴァー・ネルソン(Oliver Nelson)が担当した。
解説
オーケストラル・ポップ、ラテンジャズ、ジャズ・フュージョン、タンゴの要素を含む甘美でロマンティックな映画音楽であり、アメリカの中年男性とパリの若い女性の性的な関係を描いた映画本編の頽廃的で官能的な雰囲気を盛り上げる効果的な劇伴音楽である。
バルビエリのスモーキーなサックスソロが印象的なメインテーマはよく知られている曲である。
本アルバム(11曲、30分40秒)は1973年にユナイテッド・アーティスツ・レコーズから発売された。本アルバムは映画で使用されたオリジナル・スコアではなく、映画公開後の1972年11月に再録音されたものである。
本アルバムは1973年に第15回グラミー賞の最優秀インストゥルメンタル作曲賞(ジャズ以外)を受賞した。
4曲目「Last Tango in Paris – Ballad」はジャズ・ファンク風のアレンジ。11曲目「Last Tango in Paris – Jazz Waltz」はアシッドジャズのようなアレンジ。
ライコディスクは1998年に本アルバムをCDで再発売した。このCDにはオリジナル・スコアからの29トラック(約25分)が「The Last Tango in Paris Suite」としてモノラルで追加収録されている。
イタリアのレーベル、GDMは2005年に未発表の12トラックを含む本アルバムのリマスター版CDを発売した。
クァルテット・レコーズ(スペイン)は2016年に本アルバムのCD2枚組の拡張版を発売した。ディスク1「The Film Score」(49トラック、57分10秒)はオリジナルの8チャンネルのマルチトラック録音を基にしたオリジナル・スコアの完全版をステレオで収録。ディスク2「The Album Recording」は第1世代の3トラックのマスターテープからマスターされた1972年の再録音を収録。
オリジナル・スコアのうち、実際に映画で使用されたのは約20分ほどである。