言語切替

The Prodigy: Music for the Jilted Generation (1994)

『ミュージック・フォー・ザ・ジルテッド・ジェネレーション(Music for the Jilted Generation)』は、1990年にプロデューサー、キーボード奏者、ソングライターのリアム・ハウレット(synthesizers, keyboards, sampling, drum-machines, production, mixing, engineering)を中心としてエセックス州ブレントリーで結成されたイギリスのエレクトロニック・ダンスミュージック・グループ、ザ・プロディジー(The Prodigy)の2作目のスタジオ録音アルバムである。

本アルバムは1993年末から1994年の初頭にかけて録音され、1994年にイギリスでXLレコーディングスから、アメリカ合衆国でミュート・レコードから発売された。本作は全英アルバムチャートで1位を記録した。

プロディジーは1980年代末から1990年代初頭のイギリスのアンダーグラウンドなレイヴ・カルチャーに根差したブレイクビート・ハードコアのスタイルでデビューした。その後、レイヴ/ブレイクビート・ハードコアからオルタナティヴ・ロック寄りのスタイルへと移行し、ファットボーイ・スリム(Fatboy Slim)やケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)とともに、1990年代に「ビッグ・ビート」と呼ばれたジャンル(ヘヴィなブレイクビーツとベースライン、サンプル、ループの多用を特徴とする電子音楽)の大衆化において中心的な役割を果たした。

プロディジーが1990年代に発表した最初の3つのアルバムはそれぞれスタイルが異なっている。デビューアルバムの『エクスペリエンス(Experience)』(1992年)はレイヴ・パーティー向けのブレイクビート・ハードコアのアルバムで、2作目の『ミュージック・フォー・ザ・ジルテッド・ジェネレーション』はレイヴ/ブレイクビート・ハードコアからビッグ・ビートへの過渡期に発表されたハードコア・テクノのアルバム、3作目の『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド(The Fat of the Land)』(1997年)はアリーナ・ロックのようなビッグ・ビートの大ヒットアルバムである。

1作目、3作目と比較すると、この2作目のアルバムはメロディックで複雑な楽曲構造、ダークな雰囲気、繊細な美しさという点で際立っている。

本アルバムはシングル曲4曲、「One Love」(1993年、全英チャート8位)、「No Good (Start the Dance)」(1994年、全英チャート4位)、「Voodoo People」(1994年)、「Poison」(1995年)を収録している。

3曲目「Their Law」はポップ・ウィル・イート・イットセルフ(Pop Will Eat Itself)との共同制作。

「No Good (Start the Dance)」はケリー・チャールズ(Kelly Charles)のハウス曲「You’re No Good for Me」(1987年)のヴォーカル・サンプルを含んでいる。

「Voodoo People」はニルヴァーナ(Nirvana)のアルバム『イン・ユーテロ(In Utero)』(1993年)の収録曲「Very Ape」のギターリフの引用を含んでいる。

7曲目「The Heat (The Energy)」は映画『ポルターガイスト3 / 少女の霊に捧ぐ…』(1988年)のヴォイス・サンプルを含んでいる。

13曲目「The Narcotic Suite: Claustrophobic Sting」は映画『2001年宇宙の旅』(1968年)のヴォイス・サンプルを含んでいる。

2008年に本アルバムのリマスター拡張版『More Music for the Jilted Generation』(2枚組CD)がXLレコーディングスから発売された。

The Prodigy – No Good (Start The Dance) (Official Video)