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虐殺器官(2017年)

概説

『虐殺器官』は、伊藤計劃の同名のSF小説(2007年刊行)が原作の2017年の日本のアニメ映画である。伊藤計劃の長編小説3作のアニメ映画化シリーズ(企画:ノイタミナ)の第3弾である。

監督・脚本は村瀬修功(TVアニメシリーズ『Ergo Proxy(エルゴプラクシー)』(2006年)監督)。アニメーション制作はジェノスタジオ。114分。

あらすじ

2001年のアメリカ同時多発テロ事件(9/11)とサラエヴォでの核爆弾テロを経て、世界は監視とセキュリティ管理によってテロリズムを排除する大国と内戦に苦しむ小国とに二分された。アメリカ合衆国の諜報と暗殺のための特殊部隊に所属するクラヴィス・シェパード大尉は、人体における虐殺を司る器官(「虐殺器官」)の存在とそれを活性化させる「虐殺文法」を発見し、それを用いて世界各国で内戦と虐殺を引き起こしている謎のアメリカ人言語学者、ジョン・ポールを追って、分遣隊とともにジョージア(グルジア)、プラハ、インド、アフリカで潜入捜査を行う。

解説

原作は、人間の本質的な残虐性、グローバル化した世界における国家間の命の価値の不均衡、自分たちの安全を守るために他者の命を蔑ろにすることの倫理的な罪などの政治的なテーマを扱った近未来軍事SF小説である。

このアニメ映画版は、一部原作を改変・省略した部分はあるが(原作にあった主人公の母親の死に関するエピソードはカットされている)、原作のメインストーリーを忠実に映像化した翻案。原作未読でもシリアスなテーマの近未来SF映画、ハイテクなメカやガジェットが登場する軍事アクション映画として鑑賞できるが、原作を読むことでより理解が深まる作品である。

血なまぐさい殺人シーンを多数含んでいるので注意が必要。

当初はマングローブが本作の制作を担当していたが、マングローブが経営破綻したため、新会社のジェノスタジオが制作を引き継いだ。

「虐殺器官」予告映像