概説
『#7885(エレクトロパンク~テクノポップ)(#7885: Electropunk to Technopop 1978–1985)』は、クリス・ワトソン(keyboards, tapes)、リチャード・H・カーク(guitars, keyboards, clarinet, saxophone, tapes, sampling, drum machines, sequencer programming)、スティーブン・マリンダー(vocals, bass, keyboards)を中心として1973年にシェフィールドで結成されたイギリスの音楽グループ、キャバレー・ヴォルテール(Cabaret Voltaire)のコンピレーション・アルバムである。
解説
グループ名は1910年代にダダイズム運動の中心人物たちのたまり場だったチューリッヒのナイトクラブに由来している。
キャバレー・ヴォルテールの活動史上、最も重要かつ影響力があった時期はラフ・トレード期(1978–1982年)とサム・ビザール/ヴァージン期(1983–1985年)である。
ラフ・トレード期には、ポストパンクを背景として、カットアップ/テープ・コラージュの手法、ノイズ、電子音、ダブ的な音響処理を導入し、スロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle)やSPKとともに実験的で革新的なインダストリアル・ミュージックを開拓。
クリス・ワトソン脱退後のサム・ビザール/ヴァージン期には、ミニマルなシーケンサー・ループ、ハーモナイザー、ドラムマシン、ファンキーなベースラインを導入し、自らのインダストリアル・ミュージックをよりポップ志向のエレクトロニック・ダンス・ミュージックに発展させ、テクノやエレクトロニック・ダンス・ミュージック全般に広範な影響を与えた。
ラフ・トレード期とサム・ビザール/ヴァージン期の主要曲はそれぞれ別個にまとめられて、2つのコンピレーション・アルバム、『The Original Sound of Sheffield ’78/’82』(2002年)と『The Original Sound of Sheffield ’83/’87』(2001年)に収められている。
本アルバムは、ラフ・トレード期とサム・ビザール/ヴァージン期にリリースされた代表曲を19曲に絞って1枚のディスクに収録した、「キャブス入門編」的なコンピレーション・アルバムである。収録曲はリチャード・H・カークによってまとめられ、リマスターが施されている。本作は2014年にミュート・レコード/グレイエリア(Mute Records/The Grey Area)から発売された。
『The Original Sound of Sheffield ’83/’87』はサム・ビザール時代のシングルの12インチ・バージョンを収録しているが、本アルバムは「Just Fascination」、「The Dream Ticket」、「Sensoria」、「James Brown」、「Kino」、「Big Funk」、「I Want You」のオリジナルの7インチ・バージョンを収録。
1979年にリリースされたシングル、「Nag Nag Nag」はインダストリアル・ミュージックの有名曲。
1984年にリリースされたシングル、「Sensoria」と「James Brown」はエレクトロニック・ダンス・ミュージックの名曲。
日本盤はボーナス・トラックとして「Cut The Damn Camera (12″ Version)」を追加収録。