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ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(2018年)

概説

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』(以下『DQB2』と表記)は、スクウェア・エニックスが発売したブロックメイクRPGである。前作『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』(2016年、以下『DQB1』と表記)の続編であり、開発はコーエーテクモゲームスのオメガフォースが担当した。2018年12月20日にPlayStation 4およびNintendo Switch向けに日本で発売され、2019年7月12日に北米・欧州で発売された。その後、2019年12月にSteam版、2021年5月にXbox One版およびWindows 10版が配信されている。

ジャンルはアクションRPGとサンドボックス型のクラフト要素を融合させた「ブロックメイクRPG」である。キャッチコピーは「世界をつくれ、運命をこわせ」。舞台は『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(1987年、以下『DQII』と表記)で破壊神シドーと大神官ハーゴンが倒された後の世界であり、破壊を崇拝し創造を禁じる「ハーゴン教団」の脅威が再び迫る状況が描かれる。

主人公は見習いビルダーとして、記憶を失った少年シドーとともに無人島「からっぽ島」を拠点に、各地の島を巡って荒廃した世界を再生していく。ストーリーモードと自由なモノづくりを楽しむ要素が有機的に統合されており、最大4人でのマルチプレイにも対応する。

公式PV

オープニング映像

メインスタッフ

ゼネラルディレクターは堀井雄二、ディレクターは新納一哉(スクウェア・エニックス)、開発ディレクターは枝川拓人(コーエーテクモ・オメガフォース)が務めた。プロデューサーは藤本則義、白石琢磨、庄知彦らが担当した。シナリオは塚田耕也、キャラクター原案は鳥山明、音楽はすぎやまこういちによる。美術監督は綾野麻里奈、竹之内良和らが務めた。

前作がアートディンクとの協業であったのに対し、本作ではアクション要素やシステム面の強化を目的にオメガフォースが開発を担った。

ゲームシステム

本作の中核は、ブロックを配置・破壊して建物や街を構築するクラフト系システムと、敵との戦闘・探索・素材収集を含むアクションRPG要素の融合にある。世界はブロックで構成されており、ハンマーなどで物体を破壊して素材を入手し、レシピに従って道具・家具・建築物を作成する。

ストーリーモードでは、主人公はからっぽ島を拠点に各島を巡り、各島で問題を解決してその島の住人たちを招き入れながらからっぽ島を開拓していく。各種の「そざい島」ではモノづくりのための素材を集め、からっぽ島に招致する住民や動物を探す。

モンスターとの戦闘はシンボルエンカウント方式によるリアルタイムのアクション形式で、武器による攻撃が基本である。

ストーリーモードのクリア後はモンスターがいない「かいたく島」で自由なモノづくりに専念できる。

映像

映像は完全3Dのグラフィックを採用している。家具などのアイテムを除く世界内の物質はすべて立方体のブロックで構成され、キャラクターは二〜三頭身程度の姿で描かれている。

音楽・音響

音楽は全曲が過去のドラクエシリーズの楽曲(作曲:すぎやまこういち)の引用・アレンジで構成されており、特に『DQII』および天空シリーズ(『DQIV』『DQV』『DQVI』)の曲が多用されている。

ゲーム内の会話はすべてテキストで表示され、キャラクターのボイスは非言語ボイス(掛け声、うなり声、感情表現の笑い声など)のみが実装されている。

『マインクラフト』との比較

『マインクラフト』(2011年)に代表されるサンドボックスゲームが、ほぼ無制限の自由とプレイヤー主導の目標設定を特徴とするのに対し、本シリーズは明確な物語進行とクエスト構造を持つ「物語主導型クラフトRPG」として位置づけられる。ストーリーモードでは創造行為が物語の進行と結びついており、荒廃した世界の再生や住人たちの救済といった意義を帯びている。

また、戦闘や成長要素をアクションRPGとして組み込み、ドラクエシリーズの世界観・音楽・キャラクターデザインを活用することで、サンドボックスの開放感とJRPGの物語体験を両立させている。

『マインクラフト』ではプレイヤーがゲーム内でできることを調べて、何をするかという目標を立てる必要があるが、これに対して本シリーズではストーリーモードがモノづくりのためのチュートリアルの役割を担っており、物語の中で指示に従ってモノづくりを進めていくうちに、何を作りたいかという欲求が自然に芽生えてくる仕組みになっている。

プロットの概要(ストーリーモード)

ハーゴン教団の残党によってビルダーが根絶やしにされようとする世界で、主人公は教団の船に捕らえられる。嵐で船が沈没し、無人島「からっぽ島」に漂着した主人公は、記憶を失った少年シドー、同じく教団に捕らわれていた少女ルルと出会う。島の精霊的な存在、しろじいの依頼を受け、からっぽ島を開拓する拠点としつつ、モンゾーラ島(農園の再生)、オッカムル島(鉱山町の復活)、監獄島(ハーゴン教団の監獄から脱獄)、ムーンブルク島(城塞の再建、魔物兵団とのバトル)などを巡り、教団の支配から島々を解放していく。物語は創造と破壊の対立を軸に展開し、最終的に破壊天体シドーへと至る。

登場人物(ストーリーモード)

主要人物

  • 主人公(ビルダー):メルキド出身の見習いビルダー。プレイヤーが性別の選択と名前の設定をすることが可能。かつて闇に覆われた世界を復活させた伝説のビルダーの子孫。創造の力を持ち、教団から敵視される。
  • シドー:記憶を失った少年。破壊の力を持ち、主人公の相棒として行動を共にする。モノづくりの才能はないが、モンスターとの戦いや素材集めを得意とする。
  • ルル:主人公と同じくハーゴン教団の船から生還した少女。かつてはルプガナの町に住んでおり、父は一流のビルダーだった。からっぽ島で主人公たちと行動を共にする。
  • しろじい:からっぽ島に宿るおおきづちの精霊的存在。島の開拓を主人公に託す。
  • 船長:嵐に巻き込まれてからっぽ島へ流れ着いた中年男性。主人公とシドーを自分の船に乗せて他の島々へ連れて行く。

モンゾーラ島

  • チャコ:モンゾーラ島に住む少女。自称・畑作りの天才。腐敗した大地をよみがえらせ、かつての大農園を復活させようと奮闘する。
  • ドルトン:チャコとともに農園作りに取り組むヒゲの男。
  • マギール:ハーゴン教団モンゾーラ教区の副総督を務める魔術師系モンスター。総督ヒババンゴから村を破壊するように命じられるが、農園を視察してモノづくりに興味を持ち、ビルダーの協力者となる。

オッカムル島

  • ペロ:かつてオッカムルの町にあったバーの看板娘。やる気をなくした町の男たちを立ち直らせ、鉱山とバーを再建することを願う。
  • マッシモ:ペロの手助けをするために相棒のミルズとともにオッカムルの町にやってきた荒くれ。鉱石採掘を得意とするが、魔物は苦手。
  • カルロ:かつては腕のいい鍛冶屋として知られた男だったが、ハーゴン教団にモノづくりを禁じられ、鍛冶屋の仕事をやめてしまった。

監獄島

  • モンばあ:監獄島に長年収監されている老婆。ペルポイの町の出身。主人公の脱獄計画に協力する。

ムーンブルク島

  • リック:王国の兵士長。主人公の来訪によってハーゴン軍打倒の希望を抱く。
  • アネッサ:王国の将軍。ハーゴン教団の信者を自認し、教団の軍勢と戦いながらも勝利するつもりはない様子だが、心にある思いを秘めている。
  • 王:『DQII』ではハーゴン軍の侵攻によって命を落としたが、この世界では生存している。自身の存在に違和感を覚えながらも、国王として城の再建を指揮する。

前作『DQB1』との比較

前作『DQB1』は『ドラゴンクエスト』I~III(ロト三部作)のアレフガルドを舞台として、『ドラゴンクエストI』の「もしも勇者が竜王の誘いに乗っていたら」という「もしもの世界」を描いていたが、本作は『DQII』のその後の世界を描いている。

『DQB1』はストーリーのクリア後に独立したフリービルド専用モードが解放されるという構成だったが、『DQB2』ではストーリーモードとフリービルドモードがより密接に統合され、拠点であるからっぽ島を段階的に発展させる構造が採用された。ストーリーの進行中もからっぽ島やその他の島々で自由にモノづくりをすることができ、ストーリーのクリア後には、島のタイプの選択から始められるフリービルドモードが解放される。

システム面では、操作性と建築の自由度が大幅に向上し、前作で指摘された不便さを解消する改良が広く施されている。

『DQB1』はアクションの難易度が比較的高く、コアなプレイヤー向けという評価もあったのに対し、『DQB2』は操作性の向上とアクションの難易度の緩和により、カジュアルなゲーマーを含む多くのユーザーがストレスなく遊べる、より万人向けのゲームになっている。

前作からの主な改良点は以下のとおり。

  • 積み上げ可能なブロックの高さの上限が31段から100段に増加
  • ブロックの斜め削りが可能
  • 移動方法の追加:ダッシュ、水中移動、「かぜのマント」による滑空が可能
  • 新ツールの追加:
    • ビルダーアイ:遠隔からブロックの設置と破壊が可能
    • グローブ:モノを壊さずに持ち運べる
    • ビルダーペンシル:建造物をスキャンして設計図を出力
    • リフォームコテ:ブロックをまとめて入れ替え
    • カッター:ブロックを削っていろいろな形状に変えられる
    • かわきのつぼ:液体を汲んだり撒いたりする道具。これを使って水源を自由に設定できる
  • 住民が設計図を基に自動で建築を行うオートビルド機能の追加
  • 三人称視点と一人称視点の切り替えが可能
  • ビルダーハートを集めてビルドレベルを上げるシステムの導入
  • 主人公がモンスターとの戦闘でレベルアップする経験レベルシステムの導入
  • オンラインやローカル通信(Switch版のみ)でのマルチプレイに対応。最大4人同時プレイが可能
  • 写真を撮る「撮影モード」の追加
  • 写真を投稿・共有できる「掲示板」を実装
  • 敵モンスターとの接触ダメージの廃止
  • 装備(武器・防具)の耐久度が廃止され、壊れなくなった
  • NPCの行動AIの進化

『DQII』との繋がり

本作の舞台は『DQII』でロトの血を引く三勇者によって破壊神シドーとハーゴンが倒された後の世界である。ハーゴンの遺志を継ぐ教団が創造を禁じ、破壊を崇める教義を広める。物語の後半では、この世界自体がハーゴンによって創られた幻の世界であるという設定が明らかになる。

テーマ分析:創造と破壊の循環構造

本作の中心テーマは、創造と破壊の二項対立とその止揚である。ハーゴン教団は破壊を絶対的な救済とし、創造を悪と見なすが、主人公は破壊を創造の前提となる素材収集として捉え、両者を循環的に結びつける。シドーという存在は破壊の権化でありながら、主人公との交流を通じて創造に意味を見いだしていく。

終盤で明らかになる「幻の世界」の設定は、このテーマを世界の滅びと再生の循環としてさらに深化させる。ハーゴンが創った幻の世界は、破壊の意志によって消滅の危機に瀕するが、ビルダーの創造の力とシドーの破壊の力の融合によって「本物」の世界として定着する。

創造行為が世界の存在条件そのものとなる構図は、サンドボックスゲームのメタ的性格を世界の滅びと再生の物語に巧妙に織り込んだものと言える。

評価

本作は『週刊ファミ通』のクロスレビューで40点満点中37点を獲得し、プラチナ殿堂入りを果たした。レビュアーからは、前作からの正統的な進化、親切で段階的な導入によってモノづくりの楽しさを自然に体得できる点、ビルダー道具の追加による利便性の向上、マルチプレイ対応、住人の喜びが「ビルダーハート」として可視化され拠点発展と連動するシステム、物語とゲームプレイの密接な結びつきなどが高く評価された。特に「作る楽しさに没頭し、プレイ自体が幸せな気分になる」といった感想が寄せられ、創造行為と物語進行の融合が成功している点が強調されている。

日本国外では、レビュー集積サイトMetacriticにおいて総合スコアがおおむね86点(PS4版など)を記録し、「generally favorable(おおむね好評)」とされた。創造と物語の融合、前作からの大幅な改善、魅力的なキャラクター関係(特に主人公とシドーの絆)、建築の自由度と快適性の向上などが広く称賛される一方、戦闘の単調さやアクション要素の深みの不足を指摘する声も一部に見られた。

商業面では、2019年8月時点で世界累計出荷本数110万本を突破したことが発表されている。日本国内の初週販売はパッケージ版を中心に約20万本規模(PS4版とSwitch版がほぼ拮抗)を記録し、その後も安定したロングセラーとなった。

2019年の日本ゲーム大賞では年間作品部門の優秀賞を受賞し、「最大4人で遊べるマルチプレイを実現。前作より大幅にパワーアップした『モノづくり』の楽しさと、胸を熱くするストーリー」が選考理由として挙げられた。

総じて、サンドボックスとJRPGの融合というジャンル開拓的意義が広く認められ、前作の完成度をさらに高めた成功作として位置づけられている。

海外展開とローカライズ

日本発売後、2019年1月24日に香港・台湾で繁体字中国語版がPlayStation 4向けに発売された。2019年7月12日には北米・欧州で『Dragon Quest Builders 2』のタイトルでPlayStation 4およびNintendo Switch向けに発売され、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語に対応した。

2019年12月にはSteam版が発売され、2021年5月にはXbox One版およびWindows 10版が配信された。Steam版およびXbox版では追加DLC第1弾から第3弾が本編に同梱される形で提供されている。

テキスト(インターフェース)の対応言語はプラットフォームにより若干異なるが、Steam版では以下の9言語に対応している。

  • 日本語
  • 英語
  • フランス語
  • イタリア語
  • ドイツ語
  • スペイン語
  • 韓国語
  • 繁体字中国語
  • 簡体字中国語

DLC一覧

主な有料DLCは以下の通りである(日本での配信時期を基準)。

  • 第1弾「和風パック」(2019年2月):和風家具・建材・作物など40種以上のレシピ、専用のそざい島を追加。
  • 第2弾「水族館パック」(2019年3月):釣りシステム、魚の飼育・水族館関連アイテム、釣り島(ツリル島)を追加。
  • 第3弾「近代建築パック」(2019年5月):近代的な建材・家具・装備など70種以上のレシピを追加。

無料DLCとしてお正月パックなどが配信された。Steam版およびXbox版ではこれらの有料DLCが本編に同梱されている。

公式サイト

ドラゴンクエストビルダーズ2 | SQUARE ENIX
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』PlayStation®4とNintendo Switch™で登場!モノづくりのチカラを駆使して、ブロックで出来た世界で物語を紡いでいくブロックメイクRPGの最新作。

検索リンク

Steamで「ドラゴンクエストビルダーズ2」を検索

ストーリーモードのあらすじ(ネタバレあり)

プロローグ:ハーゴン教団の船〜からっぽ島

見習いビルダーの主人公はハーゴン教団の残党によって捕らえられ、教団の船の牢屋で目を覚ます。主人公が船内で教団に命令されて各種の仕事をこなしていると、船が嵐に見舞われ沈没する。

主人公は無人島「からっぽ島」に漂着し、そこで記憶を失った少年シドーと出会う。同じ船から生還したルルとも合流し、島の精霊しろじいから島の開拓を託される。以後、主人公はからっぽ島を拠点に、各地の島を巡って素材や住人を集めながら島を発展させていくことになる。

モンゾーラ島

最初に訪れるモンゾーラ島は、かつては緑豊かな農業の島だったが、ハーゴン教団の支配下で大地は腐敗し、植物が育たなくなっていた。主人公とシドーは住人たちと協力して腐った土地を浄化し、恵の大樹を復活させる。モンゾーラ教区の総督ヒババンゴとの決戦では、バナナの皮を利用してヒババンゴを転ばせ、その隙を突いて倒す。勝利後、主人公は住人の一部をからっぽ島に招き、農業を基盤とした開拓を進める。

オッカムル島

次に訪れるオッカムル島は砂漠と鉱山の島である。かつてはゴールドラッシュに沸いていたが、ハーゴン教団の命令で鉱山が閉鎖されたために住民たちはやる気を失い、町はさびれて活気を失っていた。主人公は坑道を掘り進め、ゴーレムのゴルドンを仲間にしながら各種の鉱石を採掘する。オッカムル教区の総督メドーサボールとの戦いでは、ゴルドンに乗って光線を跳ね返し、倒すことに成功する。住民は意欲を取り戻し、主人公は鉱業関連の技術と住人を得てからっぽ島へ戻る。

監獄島

主人公とシドーは教団に捕まり、監獄島に送られて囚人となるが、島内で出会う囚人たちやモンスターたちと協力しながら脱獄を果たし、島から脱出する。

ムーンブルク島

雪原が広がるムーンブルク島を訪れた主人公とシドーは、兵士たちとともに城を再建しながら教団の脅威に立ち向かい、魔法兵器を駆使して敵を撃退する。ムーンブルク教区の大総督アトラスとの決戦では、「ミナデイン砲」の発射により勝利する。

王国の復興を通じて、この世界がハーゴンによって創られた幻の世界であることが次第に明らかになる。ムーンブルク王の記憶によって、幻の世界の成り立ちと、シドーの正体が破壊神シドーであることが判明する。

破壊天体シドー

この世界では亡霊のような存在となっているハーゴンがシドーを連れ去り、破壊神シドーとして覚醒させる。シドーを追って黒い渦(空間の裂け目)に飛び込んだ主人公は、暗い荒野が広がる空間「破壊天体シドー」に迷い込む。

主人公は崩壊してゆく破壊天体シドーから魔物たちを脱出させるために、魔物たちとともに箱舟を建造する。

主人公は破壊天体シドーの上空に浮かぶハーゴン城でハーゴンと対峙した後に、破壊神としての本体から少年シドーの人格を救い出し、少年シドーと協力して破壊神を倒す。

主人公とシドーはそれぞれの創造と破壊の力を合わせることで、幻の世界を現実の世界として定着させる。

エピローグ

からっぽ島に帰還した主人公とシドーは、仲間たちとともに島のさらなる開拓を続けていく。