概説
『真・女神転生』シリーズは、多くの場合現代の東京を舞台とし、プレイヤーが悪魔と交渉して仲間にできる独自のシステム、退廃的でダークな世界観、そしてプレイヤーの選択によって結末が分岐するマルチエンディング形式などを特徴とする人気JRPGシリーズである。
『真・女神転生III-NOCTURNE』(以下『真III』と表記)は、アトラスが『真・女神転生』シリーズの第3作目として制作し、2003年2月20日にプレイステーション2向けゲームソフトとして発売したRPGである。
『真・女神転生II』(1994年)から約9年ぶりのナンバリングタイトルであり、過去2作との直接的なストーリー上の連続性を持たない、独立した新作として構築されている。
物語は、東京を襲った「東京受胎」と呼ばれる破局的事件を起点に展開する。世界は崩壊し、悪魔が跋扈する異界「ボルテクス界」へと姿を変える。主人公はこの事件に巻き込まれた末に人間と悪魔の狭間にある存在「人修羅(ひとしゅら)」となり、荒廃した東京で、それぞれの理想(コトワリ)を掲げる者たちと出会いながら、自らが選び取るべき世界のありようを模索していく。発売時のキャッチコピー「東京が死んで、僕が生まれた」は、この物語の骨格を端的に示すものとして、しばしば言及される。
2004年1月29日には、新規シナリオやカプコン『デビル メイ クライ』とのコラボレーションによるダンテの登場、新規ダンジョン「アマラ深界」とそれに伴う新エンディング、新規悪魔・魔人の追加などを含む拡張版『真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス』が発売され、ロード時間の短縮、難易度選択機能、物理攻撃スキルの命中率向上などの改良も加えられた。2008年10月23日には、『デビル メイ クライ』のダンテの登場パートをアトラス自社の『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズの主人公・葛葉ライドウに置き換えた『真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス クロニクルエディション』が『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王』限定版の付属ソフトとして発売された。
2020年10月29日には、この『マニアクス クロニクルエディション』を基準としたHDリマスター版『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』がNintendo Switch / PlayStation 4向けに発売された。2021年5月25日には、オリジナル版(2003年版)を基準とするSteam版も配信された。『マニアクス クロニクルエディション』相当の追加コンテンツ(葛葉ライドウの登場)は無料DLC「クロニクルパック」として、『マニアクス』相当の追加コンテンツ(ダンテの登場)は有料DLC「マニアクスパック」として、それぞれ別途提供される。

公式PV
メインスタッフ
チーフディレクターは橋野桂、クリエイティブディレクター(キャラクター・悪魔デザイン、アートディレクションを兼任)は金子一馬、プロデューサーは岡田耕始が務めた。
シナリオ原案・設定構築は木村央志が担当し、シナリオは礒貝正吾を中心に執筆された。イベントアートディレクターを務めた副島成記は主にキャラクターデザインやイベント関連のビジュアルを担当した。イベントプランナーは小森成雄・山井一千が務めた。山井はフィールドプランニングディレクターも務めている。
メインコンポーザーは目黒将司が、サウンドクリエイターは田崎寿子・土屋憲一が務めた。
翌2004年の拡張版『マニアクス』と2020年のHD REMASTER版では山井がディレクターを務めている。
戦闘システムとマガタマ
戦闘はランダムエンカウント方式のコマンド選択式ターン制バトルである。本作で初めて導入された「プレスターンバトル」は、敵の弱点属性を突く、あるいはクリティカルヒットを与えることで追加の行動回数(ハーフターン)を得られる一方、攻撃が無効化・反射・吸収された場合には行動回数を失うという仕組みを持つ。攻めと守りの駆け引きに緊張感を生むこのシステムは、以後のシリーズおよび『ペルソナ』シリーズにも継承される看板システムとなった。
主人公は「人修羅」という半人半魔の存在であるため、これまでのシリーズの主人公のように武器や防具を装備しない。代わりに、悪魔の力を結晶化させたアイテム「マガタマ」を装着することで、耐性・習得スキル・パラメータ上昇量などを変化させる。仲魔(味方悪魔)は経験値によって自らレベルアップするようになり、悪魔合体に第三の悪魔を追加素材として用いる「イケニエ合体」も新たに導入された。
ストーリー
物語の舞台は200X年の東京。高校のクラスメイトである主人公・新田勇(にったいさむ)・橘千晶(たちばなちあき)の3人は、入院中の担任教師・高尾祐子(たかおゆうこ)の見舞いに向かう。折しもシンジュク衛生病院の建て替え・通信塔建設をめぐり、氷川(ひかわ)と名乗る人物の関与が取り沙汰されていた。オカルト雑誌『月刊アヤカシ』の記者ヒジリは、悪魔崇拝のカルト集団「ガイア教」とその教典「ミロク経典」が説く「世界に混沌が訪れる」という予言を追っていた。
病院を訪れた3人だったが、院内には人の姿がなく、勇は先生を捜し回る。地下で氷川と接触した主人公は、祐子が「巫女」として新世界創世の中心に据えられようとしていることを知る。屋上に呼び出された祐子から「受胎」による世界の転生と、自らが巫女としてその中心を成す運命にあることを聞かされた直後、病院にいた者以外のすべての人間が死に絶える「東京受胎」が発生する。
主人公は喪服の老婆を従えた謎の少年によって、悪魔の力を宿す禍なるマガタマを与えられ、人と悪魔の狭間の存在「人修羅」となって生き延びる。
物語の根底には「コトワリ」という主題が一貫して流れている。崩壊した世界の中で、生き残った人間や悪魔たちはそれぞれが理想とする新世界の理念=コトワリを掲げ、その実現を競い合う。千晶は弱肉強食を是とする「ヨスガ」を、勇は他者との関係を断ち自分だけの閉じた世界を築く「ムスビ」を、氷川は一切の混沌を排した静寂な秩序世界「シジマ」を、それぞれ体現する存在となる。主人公自身はいずれのコトワリにも与しない立場を取ることができ、最終的にどのような世界を選び取るか、あるいはコトワリそのものを拒絶するかが、プレイヤーの選択に委ねられる。
主な登場人物
主人公(人修羅)
正式な固有名は設定されていない。東京受胎に巻き込まれ、悪魔の力を宿す「マガタマ」を通じて人間と悪魔の狭間の存在「人修羅」へと変質した青年。武器や防具の代わりにマガタマを装着して戦い、コンピュータ(COMP)を介さず悪魔を使役する点で、過去作の主人公とは一線を画す。
新田勇(にった いさむ)
主人公の友人。東京受胎に巻き込まれた3人組の一人。事件を経て、他者との関わりを断ち切り自分だけの世界を創ろうとするコトワリ「ムスビ」を体現する存在へと変質していく。
橘千晶(たちばな ちあき)
主人公の友人。東京受胎に巻き込まれた3人組の一人。事件を経て、強者のみが生き残るべきだとする弱肉強食のコトワリ「ヨスガ」を体現する存在へと変質していく。
ヒジリ(聖丈二、ひじり じょうじ)
オカルト雑誌『月刊アヤカシ』の記者。東京受胎以前からガイア教やミロク経典をめぐる予言を追っており、主人公の道行きに深く関わる。特定のコトワリに与しない立場を取る人物でもある。
氷川(ひかわ)
通信大手サイバース・コミュニケーション社のチーフ・テクニカル・オフィサーであり、悪魔崇拝のカルト集団「ガイア教」の幹部。「東京受胎」を引き起こした黒幕であり、一切の混沌や争いを排した静寂な秩序世界を理想とするコトワリ「シジマ」を体現する。
高尾祐子(たかお ゆうこ)
主人公たちの担任教師。入院中に東京受胎に巻き込まれ、新世界創世の中心となる「巫女」としての役割を担わされる。
ダンテ/葛葉ライドウ(くずのは ライドウ)
ボルテクス界のどこかで人修羅の前に立ちはだかり、戦いを挑んでくる謎の来訪者。オリジナル版『真III』の拡張版『マニアクス』ではカプコン『デビル メイ クライ』のダンテが、後の『マニアクス クロニクルエディション』およびHD REMASTER版ではアトラス自社の『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズの主人公・葛葉ライドウが、この役を務める。HD REMASTER版では有料DLC「マニアクスパック」の購入によってダンテ登場パートを選択することも可能。
『真・女神転生』シリーズにおける『真III』の革新性
『真・女神転生』シリーズは、前2作までスーパーファミコン向けに一人称視点で3Dダンジョンを探索する形式を基本としていた。『真III』はプラットフォームをプレイステーション2に移し、フィールドとダンジョンを3Dポリゴンによる三人称視点の自由探索型へと刷新した。金子一馬デザインの悪魔たちが初めて立体的にモデリングされたことは、当時のシリーズファンに大きな衝撃を与えた。
シナリオ面でも、それまで一貫して人間だった主人公を「人修羅」という半人半魔の存在に据えたことは、シリーズ屈指の異色作とされる転換点である。従来のCOMPを介した悪魔召喚から離れ、主人公自身が悪魔の力を直接行使するという設定は、以後のシリーズや派生作品における主人公像の幅を広げた。
システム面での最大の功績は、前述のプレスターンバトルの導入である。弱点を突けば行動回数が増え、無効化・反射・吸収されれば行動回数を失うという明快かつ戦略性の高い仕組みは、以後のナンバリング作品に標準搭載されるだけでなく、『ペルソナ3』(2006年)の「1MORE」システムにも影響を与えており、同システムはこのプレスターンバトルの発展形の一つと位置づけられている。加えて、仲魔のレベルアップ制や、悪魔合体に第三の悪魔を組み合わせる「イケニエ合体」の導入も、育成要素の深みを大きく広げた。
物語構造の面では、プレイヤーの選択に応じて結末が分岐するという展開を、前々作『真・女神転生』(1992年)と前作『真・女神転生II』(1994年)から引き継いでおり、これはシリーズに一貫する特徴となっている。両作では、ロウ・カオス・ニュートラルという三つの陣営のいずれを選ぶかによって物語の帰結が定まっていたが、『真III』はこの伝統を踏まえつつ、複数の登場人物がそれぞれ体現する「コトワリ」という、より多層的で相対化された理念の対立へとこの構造を深化させており、結末では6種類のエンディングに分岐する。
オリジナル版とHD REMASTER版の違い
2020年10月29日発売の『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』は、「原作尊重」を方針に掲げたリマスターであり、グラフィックの向上に加えて、快適に遊べるようにするための操作性・UI面の改善が図られている。主な変更点・追加要素は以下の通り。
- グラフィックの高解像度(HD)化
- イベントシーンへのボイス追加(ON/OFFの切り替えが可能)
- 難易度の途中変更が可能
- もっとも低い難易度の「MERCIFUL」を追加(無料DLC)
- 中断セーブ機能の追加
- 悪魔合体結果画面でのスキルシャッフル機能・スキル継承機能の追加(アップデートVer.1.02)
- オートバトル時の通常攻撃モーションの高速化(アップデートVer.1.02)
登場悪魔の総数はPS2版マニアクスクロニクル版と変わらず180体で、ゲーム内容そのものはオリジナル版・マニアクス版から大きく作り替えられてはいない。あくまで既存の完成されたゲームデザインを尊重した上での外面的な刷新に主眼が置かれている点が、本作のリマスターとしての性格を特徴づけている。
評価
オリジナル版『真III』は、発売時の『週刊ファミ通』クロスレビューで35点(40点満点)を獲得し、プラチナ殿堂入りを果たした。電撃オンラインが報じた週間販売ランキングによれば、販売本数は初週で推定約15万本、その後の累計で約24万本とされている(いずれも概数)。
海外では、拡張版『マニアクス』を基にしたローカライズ版が2004年に北米で、2005年に欧州で発売され、レビュー集積サイトMetacriticでは総合スコア82(本稿執筆時点)を記録するなど、高い評価を得た。海外のレビューでは、退廃的で救いのない世界観、重厚なサウンドトラック、戦略性の高い戦闘システムなどが概ね好意的に評価される一方、シリーズ屈指ともいわれる高い難易度や、主人公が戦闘不能になった時点でただちにゲームオーバーとなる仕様は賛否が分かれた。従来のシリーズと比べても一層苛烈になった「東京受胎」後の荒廃した世界の描写についても、その徹底した救いのなさを高く評価する声がある一方、取っつきにくさを指摘する声も見られた。
『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』は、発売週(2020年10月29日~11月1日、日本国内のパッケージ版)にNintendo Switch版が5万2481本、PlayStation 4版が4万8830本を売り上げ、合計約10万本というスタートを切った。2021年4月には、日本・アジア地域でのパッケージ・ダウンロード版累計販売本数が25万本を突破したことがアトラスより発表され、2022年にはアトラスの決算資料により全世界累計販売本数が60万本を突破したことが明らかにされている。
海外のレビュー集積サイトMetacriticでは、本稿執筆時点でPC版が79点、PlayStation 4版が76点(ユーザースコア7.8)、Nintendo Switch版が75点となっている。
シリーズ内での位置づけとしては、『真III』はしばしば「シリーズの転換点」として言及される。人修羅という半人半魔の主人公像、プレスターンバトル、そして複数の「コトワリ」による分岐エンディングという本作の骨格は、以後の『真・女神転生』シリーズに大きな影響を与え、その後のシリーズ展開の基礎を築いた作品として位置づけられている。
海外展開とローカライズ
オリジナル版『真III』(2003年)は日本国内限定での発売にとどまり、海外へは展開されなかった。海外向けにローカライズされたのは、追加シナリオを含む拡張版『マニアクス』(2004年)を基にした版であり、北米では2004年10月12日にアトラスUSAより『Shin Megami Tensei: Nocturne』(ナンバリングの「III」は省かれている)として、欧州では2005年7月1日にゴーストライト(Ghostlight)より『Shin Megami Tensei: Lucifer’s Call』として、それぞれ発売された。なお、当時のゲーム本編には戦闘時の掛け声以外のフルボイスは実装されておらず、イベントシーンのローカライズはテキスト翻訳(字幕)のみで行われている。
『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』は、まず2020年10月29日に日本・中国・韓国でNintendo Switch / PlayStation 4版が発売され、2021年5月25日には同じくNintendo Switch / PlayStation 4版が北米・欧州を含む世界各地で発売された。同日には、シリーズ初となるSteam(PC)版が全世界同時に配信されている。前述の通り、Switch / PS4版とSteam版とではゲーム内容の基準が異なっており、Steam版は西側諸国で初めてオリジナル版そのものを公式にプレイできる版ともなっている。
ボイスはいずれのプラットフォームも日本語・英語の2言語に対応しており、いつでも切り替えが可能。テキストの対応言語数はSteam版の方が多く、日本語・英語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ドイツ語・韓国語・繁体字中国語の8言語に対応している。
サウンドトラック
主な公式サウンドトラックは以下の通り。
- 『真・女神転生III-NOCTURNE』オリジナル・サウンドトラック(2003年3月5日発売、SME Visual Works / アニプレックス、2枚組CD)
- 本編のメイン楽曲を収録。
- 『真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス』サウンドトラック extra version(2004年2月4日発売、アニプレックス)
- マニアクス版の追加曲(ダンテ関連など)のみを収録したエクストラ版。
- 『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER ピアノアレンジ+レアサントラ』(2020年10月29日、HDリマスターBOX同梱。2枚組CD)
- ピアニート公爵(森下唯)によるピアノアレンジ10曲+未収録レア曲27曲を収録。
- 『真・女神転生III NOCTURNE サウンドコレクション』(2020年12月16日発売、Mastard Records、5枚組CD)
- 上記1〜3をまとめて収録。パッケージ版(CD)とデジタル版が同時発売・配信開始された。
HD REMASTER版のDLC一覧
- 難易度「MERCIFUL」追加(無料)
- もっとも易しい難易度を追加
- クロニクルパック(無料)
- Steam版にクロニクルエディションの要素を追加。デビルサマナーシリーズの葛葉ライドウが登場
- マニアクスパック(有料)
- 葛葉ライドウ登場シーンをすべてダンテ(デビルメイクライ)に差し替える
- 情けと期待(有料)
- レベルアップ用アイテム(魔導書)を好きなだけ稼げる専用マップ「坊ちゃまの情け」と、ショップでマッカに換金できるアイテムを好きなだけ稼げる専用マップ「主の期待」を追加する
- ボルテクス界BGM変更パック1~4(有料)
- 大マップ探索中・バトル中のBGMを真・女神転生シリーズの他の作品の楽曲に変更できる(パック1:『真・女神転生』、パック2:『真・女神転生II』、パック3:『真・女神転生IV』、パック4:『真・女神転生IV FINAL』の楽曲にそれぞれ対応)
公式サイト

検索リンク
あらすじ(ネタバレあり)
東京受胎
200X年、高校のクラスメイトである主人公・勇・千晶の3人は、入院中の担任教師・祐子の見舞いのため、ヨヨギ公園駅で待ち合わせる。折しもシンジュク衛生病院の建て替え・通信塔建設をめぐり、サイバース・コミュニケーション社の氷川の関与が取り沙汰されていた。オカルト雑誌『月刊アヤカシ』の記者ヒジリは、悪魔崇拝のカルト集団「ガイア教」とその教典「ミロク経典」が説く「世界に混沌が訪れる」という予言を追っていた。
病院を訪れた3人だったが、院内には人の姿がなく、勇は先生を捜し回る。地下で氷川と接触した主人公は、祐子が「巫女」として新世界創世の中心に据えられようとしていることを知る。屋上に呼び出された祐子から「受胎」による世界の転生と、自らが巫女としてその中心を成す運命にあることを聞かされた直後、病院にいた者以外のすべての人間が死に絶える「東京受胎」が発生する。
主人公は喪服の老婆を従えた謎の少年によって、悪魔の力を宿す禍なるマガタマを与えられ、人修羅となって生き延びる。人修羅はシンジュク衛生病院で妖精ピクシーと出会って仲魔とし、この場所を治めていた堕天使フォルネウスを倒す。
ヨヨギ公園~シブヤ
シンジュク衛生病院を出た人修羅が足を踏み入れたヨヨギ公園は、妖精たちに占拠され、工事現場は異形の空間と化していた。東京は、かつての破壊の源である「カグツチ」を中心とした球状の異界「ボルテクス界」へと変貌していた。
シブヤのディスコで千晶と再会するが、彼女は生存者を探すと言って姿を消す。ターミナルでヒジリと再会した人修羅は、ボルテクス界に張り巡らされた不思議な回廊「アマラ経絡」による転送網の存在を知る。ギンザには「創世」を掲げる組織が現れているとの情報を得たヒジリは、氷川を追ってその行方を追う。
ギンザ~イケブクロ
ニヒロ機構という組織が統治するギンザでは、総司令(氷川)がアマラ経絡からマガツヒ(コトワリを成すための力)を集めていた。人修羅はギンザで氷川の動向を探る。一方、イケブクロではゴズテンノウを指導者に戴く悪魔の軍団「マントラ軍」が、真の強者のみが生き残るユートピア建設を目指してマネカタ(人間の残滓のような存在)を奴隷として使役していた。ハルミ倉庫からギンザ大地下道を抜けた先で、人修羅はイケブクロにたどり着き、そこで勇と再会する。
マントラ軍本営では決闘裁判の末に鬼神トールが立ちはだかるが、人修羅はこれを打ち破る。やがてマントラ軍はニヒロ機構への襲撃を敢行するが、ニヒロ機構は祐子を媒体としたマガツヒ収集システム「ナイトメア・システム」を起動し、マントラ軍を瓦解させる。ゴズテンノウはマガツヒを吸い取られて滅びるが、精神のみを残して復活する。この過程で、千晶は強者だけの楽園「ヨスガ」の世界を、勇は他者との関係を断ち自分だけの世界を築く「ムスビ」を、それぞれ自らのコトワリとして掲げ始める。
アマラ深界~カブキチョウ捕囚所
人修羅は、老紳士と喪服の淑女と名乗る謎の二人組から、アマラ深界の各層に安置された「メノラー」と呼ばれる生命の炎を、これを奪った魔人たちから取り戻すよう依頼される。カブキチョウ捕囚所に囚われた予言能力を持つマネカタ・フトミミを、魔人ミズチを倒して救出した人修羅は、囚われていた勇と再会するも、勇はアマラ経絡の彼方へと姿を消してしまう。フトミミの予言に従い、人修羅はギンザで自分を待つ人物のもとへ向かう。
アサクサ~オベリスク
マントラ軍の崩壊によって解放されたマネカタたちの手で、アサクサの街は復興されつつあった。人修羅はアサクサの聖地ミフナシロの前で再びフトミミと出会うが、立ち入りを禁じられる。ナイトメア・システムの正体を調べていたヒジリは、チヨダのオベリスク(塔)がシステムの核として機能し、マガツヒの集積装置となっていることを突き止め、人修羅にその稼働停止を依頼する。
オベリスクはモイライ三姉妹(クロト、ラケシス、アトロポス)によって守られていたが、人修羅はこれを打ち破り、オベリスクの稼働を止める。塔の最上層で救出された祐子は、自身が氷川によるマガツヒ収集のための道具として利用されていたことを悟り、人修羅に「自由の神アラディアとして創世を目指せ」との宣託を与える。
ヒジリの取り成しによってアマラ経絡の奥へ転送された人修羅は、そこで勇と再会する。勇は他者とのすべての関係を絶ち、自分だけの閉じた世界を創ろうとする「ムスビ」のコトワリを語る。一方、千晶は強者のみが生きる世界を築く「ヨスガ」を突き詰めており、氷川もまた、あらゆる混沌を排した静寂な秩序世界「シジマ」を明確に掲げるようになる。
選択のとき
ボルテクス界の各地でコトワリを掲げる者たちと対峙し、その主張に触れてきた人修羅は、物語終盤、勇・千晶・氷川それぞれの求めに応じるか否かの選択を重ねていく。結末は、これらの選択を通じてどのコトワリに最も強く共感したかに応じて、以下の6種類に分岐する。
- ムスビEND:勇のコトワリに同意し、アマラ経絡の奥で彼の問いに「はい」と答える。
- ヨスガEND:千晶のコトワリに同意し、ミフナシロでの彼女の問いに「わかる」と答える。
- シジマEND:氷川のコトワリに同意し、氷川の問いに「このまま見ている」と答える。
- 先生END:いずれのコトワリにも同意せず、ヨヨギ公園で祐子の頼みを聞き入れたうえで、自由の女神アラディアから受ける「恐れるか否か」の問いに、いずれも「恐れない」と答える。
- 悪魔END:いずれのコトワリにも同意せず、かつ先生ENDの条件も満たさない(アラディアの問いに「恐れる」と答える、あるいは祐子の頼みを聞き入れない)。
- アマラ深界END:以上のいずれの条件を満たしていたとしても、カグツチ塔に入る前にアマラ深界の最深部に到達すれば、他のすべてに優先してこのルートが確定する。
いずれのルートにおいても、人修羅はカグツチを中心とする世界の核=カグツチ塔へと至り、選び取ったコトワリに応じて、アーリマン・ノア・カグツチという顔ぶれを中心に、そしてアマラ深界を極めたルートに限ってはさらにルシファーを加えた、それぞれ異なる組み合わせの最終決戦を経て、自らの手で新たな東京のありようを決定づけることになる。
