概説
『ブック・オブ・デイズ(Book of Days)』は、アメリカ合衆国の作曲家・ヴォーカリスト・振付師のメレディス・モンク(Meredith Monk)によるスタジオ録音アルバムである。
本作は1989年にニューヨークのクリントン・スタジオで録音され、1990年にECMレコードの姉妹レーベルのECM New SeriesからCDおよびLPとしてリリースされた。
本作はモンクによる同名の映画(1988年)の音楽を基にした14曲で構成されている。
本作は映画のサウンドトラックではなく独立した音楽アルバムであり、モンクとECMのプロデューサーのマンフレート・アイヒャーは「耳のための映画」と表現している。

アーティストについて
メレディス・モンク (1942年ニューヨーク生まれ) は、1960年代以降に音楽、演劇、舞踏を組み合わせた「総合(横断的)パフォーマンス(interdisciplinary performance)」と呼ばれる独自の芸術言語を開発したことで知られており、ECMレコードで数多くの録音を行っている。
モンクは人間の声を楽器として扱う「拡張された声楽技術(extended vocal technique)」で特に有名な人物である。
映画『ブック・オブ・デイズ』(1988年)について
『ブック・オブ・デイズ』はメレディス・モンクが監督と音楽を担当したアート・フィルムである。
ペストが流行する中世のユダヤ教徒とキリスト教徒の共同体を舞台に、予知能力によって20世紀の社会を幻視するユダヤ人の少女を描いた作品である。
セリフが少なく、音楽と身体の動き、視覚表現に重点が置かれている。
シーンの大半はフランスのコルド=シュル=シエルで撮影された。
メレディス・モンクの公式サイトによると、『ブック・オブ・デイズ』は「時間をテーマとした映画であり、戦争、疫病、そして終末への恐怖に満ちた中世と、人種・宗教間の対立、エイズの蔓延、そして核による破滅への恐怖に満ちた現代を対比させている」。
解説
本アルバムは映画『ブック・オブ・デイズ』で使用された音源を再構成した音楽作品である。
本アルバムは、モンク自身とヴォイス・エンパワーメント・コーチ/サイコセラピストのナーズ・ホセイニ(Naaz Hosseini)、作曲家/チェリスト/ヴォーカリストのロバート・イェン(Robert Een)、音楽家/指揮者/作曲家のウェイン・ハンキン(Wayne Hankin)、映画でユダヤ人の少女役を演じたトビー・ニューマン(Toby Newman)を含む12人編成の声楽アンサンブル(ヴォカリーズ)が中心になっている。
言語的な意味を極限まで排し、人間の声を言語以前の音響として扱う、非言語的なヴォーカリゼーションが特徴である。
一部の曲ではチェロ、ヴァイオリン、ハーディ・ガーディ、グロッサー・ボック(バグパイプ)、バス・リコーダー、鍵盤楽器、ハンマー・ダルシマー、ピアノなどの楽器が使われている。
モンクは本作でユダヤ教の朗唱(カンティレーション)やグレゴリオ聖歌の様式を参照しつつ、宗教音楽や民俗音楽のような響きを現代音楽の語法によって再解釈し、儀式性と原初性を感じさせる中世的な音響世界を作り出している。
抒情的なメロディーと美しいコーラス・ハーモニーを含む、魅惑的で透明感あふれる声楽アルバムである。
反復・滞留するような非直線的な時間感覚が印象的である。
収録曲
7曲目の「Dusk」はウェイン・ハンキンが作曲。それ以外の曲はメレディス・モンクが作曲。
- “Early Morning Melody” – 1:282
- “Travellers 1, 2, 3” – 2:31
- “Dawn” – 3:18
- “Travellers 4 / Churchyard Entertainment” – 6:34
- “Afternoon Melodies” – 4:46
- “Fields/Clouds” – 2:21
- “Dusk” – 2:31
- “Eva’s Song” – 0:48
- “Evening” – 2:51
- “Travellers 5” – 1:55
- “Jewish Storyteller/Dance/Dream” – 4:54
- “Plague” – 3:10
- “Madwoman’s Vision” – 7:40
- “Cave Song” – 3:48
参加ミュージシャン(Meredith Monk & Vocal Ensemble)
- Meredith Monk – Voice, Keyboard
- Naaz Hosseini – Voice, Violin
- Robert Een – Voice, Cello
- Andrea Goodman – Voice
- Nicky Paraiso – Voice
- Ching Gonzalez – Voice
- Timothy Sawyer – Voice
- Johanna Arnold – Voice
- Joan Barber – Voice
- John Eppler – Voice
- Wayne Hankin – Voice, Grosser Bock, Hurdy Gurdy, Bass Recorder
- Toby Newman – Voice
- Nurit Tilles – Keyboard, Hammered Dulcimer, Piano
